2017 Fiscal Year Annual Research Report
Mucosal immune functions and intestinal absorption mechanisms in high fat diet mice
Project/Area Number |
15K21474
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Research Institution | Health Science University |
Principal Investigator |
志茂 聡 健康科学大学, 健康科学部, 准教授 (80734607)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高脂肪食 / 腸管上皮 / SGLT / SBF-SEM / アウエルバッハ神経叢 / 蠕動運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
欧米型の高脂肪食摂取では、腸管バリア機能の低下や透過性の亢進により、下痢や便秘など消化器疾患を引き起こすことが近年報告されている。我々はこれまでに、腸管組織内の可溶性血清蛋白の保存が可能である凍結技法を用いて、腸管粘膜の可用性血清蛋白の分布を明らかにした(Microscopy 2015)。そこで本課題では、高脂肪食摂取による腸管粘膜防御機能と吸収機構のメカニズムの解明と糖吸収阻害薬(SGLT)による薬理効果を明らかにすることを目的とし、実験を計画した。 昨年度までの実験結果を踏まえ、当該年度においては吸収機構を明らかにするため、免疫組織化学的解析手法を用いて、腸管蠕動運動を司るアウエルバッハ神経叢におけるsynaptophysin局在を通常食群および高脂肪食群で比較検討した。結果、通常食群のアウエルバッハ神経叢内および筋層間の軸索では、顆粒状のSynaptophysin陽性像を豊富に認めたが、高脂肪食群ではアウエルバッハ神経叢内の陽性像は減弱していた。一方、高脂肪食群フロリジン投与後は、アウエルバッハ神経叢内に顆粒状のSynaptophysin陽性像を多く認めた。さらに詳細な検討をするため、ミクロトーム組み込み型走査電子顕微鏡(SBF-SEM)を用いた3次元再構築による解析をおこなった。高脂肪食群では軸索はらせん状となり、軸索のVaricosity内のシナプス集積はほとんどみられなかった。一方、高脂肪食群SGLT阻害剤投与後は、Varicosity内のシナプス集積とともに軸索に多数の側枝の形成を認めた。 これらの実験から、高脂肪食摂取が腸管筋間神経叢においてVaricosityのシナプス動態の異常を惹起することに加えて、SGLT阻害剤が腸管筋間神経叢に保護的に作用する可能性が示唆された。得られた一連の成果は各種学術集会にて公表し、複数の原著論文として欧文誌に投稿中である。
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