2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K21477
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| Research Institution | Aichi Institute of Technology |
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Principal Investigator |
松井 良介 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (00632192)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | TiNi形状記憶合金 / 傾斜機能特性 / デジタル画像相関法 / 腐食疲労寿命 / 不動態皮膜 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
１．傾斜機能TiNi形状記憶合金の開発
平成27年度に得られた傾斜機能TiNi形状記憶合金の変形特性および変態特性の再現性を確認するために，新規導入した高温対応の圧延機を用いて平成27年度と同様の条件（圧下率：熱間圧延5%＋冷間圧延10%）で作製した試料についてデジタル画像相関法による引張負荷中のひずみ分布取得および示差走査熱量測定を行った。その結果，変態温度分布はほぼ同様の結果を得られることを確認したが，変形特性においては圧延加工による加工割れの発生により応力―ひずみ曲線の再現性が損なわれ，局所的なひずみ集中が現れることを示した。さらに熱間圧延によって40%の圧下率で6%の密度改善を図ることができ，焼結体の相対密度を99%まで高めることが可能であることを示した。2層の積層による傾斜機能化についても試みたが，NiとTiの相互拡散範囲が狭く，Niの緩やかな濃度勾配を設けるには至らなかった。
２．高耐食性TiNi形状記憶合金の開発
高温酸化処理した材料の腐食疲労寿命に比較材に対する有意差が現れなかったことについて検証を重ねた結果，母材と不動態皮膜の密着が十分でないために回転曲げ負荷中に皮膜の一部が剥離することが原因であると結論付けた。密着性を向上させるために母材表面の更なる平滑化が必要であると考えており，平成29年度には電解研磨を行い検証する予定である。また，高温酸化処理の雰囲気ガス比率を窒素：酸素＝8：2から10：0（純窒素ガス）に変更した場合に耐食性がさらに向上する結果を得ており，今後はこの点についても詳細な検討を加える予定である。さらにオージェ電子分光によって高温酸化処理で生成される皮膜の厚さは約100nmであり，表面にNiフリー層が生成されることも明らかにした。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
１．傾斜機能TiNi形状記憶合金の開発
上記の通り，変態温度分布については再現性を確認することができたものの，加工割れの発生によって変形特性の再現性を確認するには至らなかった。加工割れの発生は当初より予測しており対策を講じたものの，より精密な材料寸法のコントロールや酸化皮膜の除去などが必要であり，完全に抑制するには至っていない。しかしながら熱間および冷間圧延加工による密度の改善効果を明確に示すことができ，変形特性の改善を期待できる。この点では当初の計画を超える成果を得ている。
２．高耐食性TiNi形状記憶合金の開発
腐食疲労寿命において高温酸化処理の優位性を見出すことができなかったものの，母材表面の平滑化および純窒素ガスによる皮膜生成に活路を見出すことができた点で一定の成果を挙げることができた。さらにオージェ電子分光による皮膜の厚さについても当初の計画通り明らかにすることができた。
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| Strategy for Future Research Activity |
１．傾斜機能TiNi形状記憶合金の開発
圧延による加工割れを抑制するために熱間圧延加工において，①圧延前の材料の厚さ分布をできる限り小さくなるよう研磨すること，②前の加工で生成した皮膜を完全に除去すること，③1回の圧延毎の圧下率を15%以下に抑えること，を徹底する。さらにこうして圧延加工した材料のデジタル画像相関法による引張負荷中のひずみ分布を取得し，再現性を確認する。即ち変形抵抗の傾斜機能特性が現れることを明確に示す。さらに形状記憶特性が溶製材同等であることも併せて明らかにする。
２．高耐食性TiNi形状記憶合金の開発
母材表面の更なる平滑化を狙い，皮膜生成の前処理として物理研磨した材料に電解研磨を施す。また併せて純窒素ガスによる窒化処理を行い，アノード分極試験による耐食性と10%NaCl水溶液中での疲労寿命の確認を実施して雰囲気ガスによる耐食性および腐食疲労寿命への影響を明らかにする。さらに繰返し曲げ変形を受ける場合，皮膜の密着性が損なわれる曲げの回数および曲げひずみ振幅を明らかにするとともに腐食疲労寿命の改善を狙う。
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