2016 Fiscal Year Research-status Report
戦後フランスにおける知識人の変容に関するメディア史的研究
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15K21482
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
中村 督 南山大学, 外国語学部, 准教授 (50644316)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 戦後フランス / フランス史 / フランス社会 / メディア史 / 社会史 / 知識人 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は戦後フランスにおける知識人の変容をメディア史的観点から再検討することにある。当該研究二年目に当たる平成28年度は戦後フランスにおける「メディア史の整理」に焦点を当て、文献および資料の収集・分析(資料調査)に取り組んだ。 本来の予定では、夏期休暇を利用して資料調査を行なうこととしていた。しかし、2回に分けて(10月末~11月初旬、3月中旬)海外渡航をし、調査を遂行した。具体的には主に国立図書館(パリに位置する)を利用した。昨年度と同様、戦後フランスの主要な出来事(植民地戦争、68年5月、1970年代の社旗運動、各大統領選挙など)に着目して、それらにメディアがいかにして関与したか、あるいはそこからメディアがいかなる影響を受けたのかを考察した。その結果、プレス(新聞・雑誌)の変遷についてはある程度、論点を整理することができた。しかし、プレスはラジオやテレビという他のメディアと重層的な関係を築いており、両者の影響関係、つまりメディアの中の力学関係についての分析は、いましばらく時間を要する。とくにフランス社会におけるテレビの役割に関しては現在盛んに研究が行なわれており、今後、先行研究を丁寧に追うことも求められる。平成29年度以降にこうした課題を解決できるように努めたい。 なお、研究実績として、本年度は当該研究に関する論文(査読有り)と共著の刊行を挙げることができる。その他の成果は来年度以降に公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の課題は(1)資料調査(文献および資料の収集・分析)、(2)国内外での意見交換、(3)研究成果の公表の3つに大別することができる。 (1)については、フランスにて資料調査を行い、予定していた対象に関してある程度の文献・資料を収集することができた。また、分析についても大きく前進した。しかし、まだ閲覧できていない資料があり、来年度以降も継続して調査を行なう必要がある。(2)の意見交換は、海外渡航の際にフランスの研究者と実現することができた。その他、国内の研究会などでの研究発表を通じて順調に意見交換を行なった。(3)の研究成果の公表に空いては、論文と共著をそれぞれ一つずつ公刊したことで、おおむね順調に進捗しているといえる。しかし、資料調査の「分析」でまだ残っている課題があり、それを含めたうえで成果を公表しなければならないと考えている。 以上のように研究課題の進捗状況は、課題を残しつつも、確実に進展しており、したがって「おおむね順調に進展している」という判断をした。
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Strategy for Future Research Activity |
上記「現在までの進捗状況」と同様、今後も(1)資料調査(文献および資料の収集・分析)、(2)国内外での意見交換、(3)研究成果の公表を中心に行なうことを研究の推進方策としたい。 平成29年度はとくに戦後フランスの知識人とメディアとの関係性を分析していく予定である。つまり、これからの段階では主に研究成果の公表に直接的に関わってくるので、適時、国内外での意見交換を行ないながら、成果の精度の向上に努めていきたい。また、現在までの進捗状況のなかで資料に関する課題が残っているので、夏期休暇などを利用して海外渡航し、解決させる。具体的には国立図書館および国立文書館(ともにパリに位置する)を利用する予定である。研究成果の公表に至る過程で、補足的な資料調査が求められる可能性が高いので、この滞在時に同時に解決させていく。また、国内の各種研究機関の図書館なども利用して、効率的に研究成果(論文)を公表していきたい。
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Research Products
(3 results)