2017 Fiscal Year Research-status Report
戦後フランスにおける知識人の変容に関するメディア史的研究
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15K21482
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
中村 督 南山大学, 国際教養学部, 准教授 (50644316)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 戦後フランス / フランス史 / フランス社会 / 社会史 / 政治史 / メディア史 / 知識人 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は戦後フランスにおける知識人の変容をメディア史的観点から再検討することにある。当該研究3年目に当たる平成29年度は戦後フランスにおける知識人の変容をメディア史的な文脈に位置づけることが課題であった。そのために2度(8月21日から8月30日、12月15日から12月22日)、フランス(パリ)に渡航し、主に国立図書館と国立文書館で文献および資料の収集・分析に取り組んだ。 これまでと同様、戦後フランスの主要な出来事(植民地戦争、68年5月、1970年代の社会運動、各大統領選挙など)に着目して、知識人とメディアの関係性に関する分析を行った。なかでも大統領選におけるメディアの影響と68年5月に関する政治文化的な側面については新たな知見を得ることができた。また、アルジェリア戦争をめぐる知識人とジャーナリズムの対応についても文献・資料の収集が進み、それに応じて論点も整理することができた。また、戦後の知識人という問題系に対しては戦前からの連続性を考慮する必要があることが分かったが、その点の分析はまだ多くの時間を要する。 なお、研究実績として、本年度は当該研究に関する研究発表を行った(「68年5月を考える」、南山大学地域研究センター共同研究、2017年9月29日、南山大学)。短い文章ではあるが、2017年のフランス大統領選に関するメディア史的な分析の成果も公表した(「ジャーナリズムに対する曖昧な信頼ー政治のなかの感情とコミュニケーション 」、『新聞研究』、792号、2017年)。その他の成果は来年度以降に公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の進捗状況も課題の性格上、前年度までと同様、下記3つに大別することができる。すなわち(1)資料調査(文献および資料の収集・分析)、(2)国内外での意見交換、(3)研究成果の公表である。 (1)資料調査(文献および資料の収集・分析):本年度は2度の渡航を通じてある程度予定どおり資料調査を進めることができた。ただ、上記研究実績の概要からも分かるように、対象とする出来事が想定以上に広がったため、収集すべき資料体も拡大せざるを得なかった。その意味で「おおむね順調に進展している」。 (2)国内外での意見交換:2度の海外渡航の際にフランスの研究者と実現することができ、研究課題について意見交換をすることができた。とくに資料の問題については有益な意見を得た。また、国内の研究会でも研究発表を通じて今後の指針に資する助言を得ることができた。この点も「おおむね順調に進展している」といってよい。 (3)研究成果の公表:当該研究課題の成果については研究発表1回と寄稿1つであり、計画どおりには行かなかった。くわえて資料調査で収集した資料の分析が十分ではなく、まだ時間を必要としており、「やや遅れている」という判断になる。 ただ、全体としての研究課題の進捗状況は、課題を残しつつも、確実に進展しており、したがって「おおむね順調に進展している」という評価である。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」と同様、今後の研究の推進方策も下記3つに大別することができる。すなわち(1)資料調査(文献および資料の収集・分析)、(2)国内外での意見交換、(3)研究成果の公表である。 (1)資料調査(文献および資料の収集・分析):平成30年度はフランスに長期滞在する予定なので、フランス各地の図書館および文書館に赴いて網羅的に資料を閲覧し、本研究課題を推進させると同時に今後の課題を発見できるように努める。 (2)国内外での意見交換:上述のように国外の研究者と直接接触できる機会が多いと予想されるので、適時、学会や研究会に参加して意見交換をしながら本研究の水準を高める。 (3)研究成果の公表:本年度は著作および論文としての成果を予定どおり公表することができなかった。ただ、分析は散漫でありながらも一定の程度は進んでいるので、平成30年度は執筆を通して充実した研究成果を公表できるように努めたい。
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Causes of Carryover |
(理由)購入予定であった書籍・資料(設備品費)の取り寄せが困難になり、購入を見送らざるを得なくなったから。 (使用計画)上記書籍・資料を現地で購入および複写する計画である。それも困難な場合は次年度に刊行される当該研究課題に関する書籍・資料の購入に充てる。
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Research Products
(2 results)