2015 Fiscal Year Research-status Report
デジタル絵本が乳児の社会的認知発達にリスクをもたらす要因及びその軽減方法の解明
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15K21491
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
佐藤 鮎美 京都大学, 文学研究科, 教務補佐員 (90638181)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | デジタル絵本 / 社会認知発達 / 共同注意 / 乳児 / 母子 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、デジタル絵本などのアプリケーション使用が乳幼児の社会認知発達に与えるリスクのメカニズムを明確にし、そのリスクを軽減することを目的としている。
平成27年度においては、第一に、研究に使用するデジタル絵本の作成を試みた。デジタル絵本の作成にあたっては、iPadおよび他のタブレット端末で自由に使用できる絵本型アプリケーションを作成し、子どもの日常生活でなじみのあるものが明快な輪郭線を伴いリアルに描かれていること（DeLoache et al., 1979）を基準とした。
第二に、デジタル絵本を使用し、母子がそれを使って自由に遊べる場面を設定し、それらの場面における母子相互作用を下記の共同注意に関する指標（Martins, 2003; Osorio et al., 2011を参考に改変）および注意対称に関する指標によりコード化した。(1)共同注意に関しては：(a)母親からの働きかけ；①絵本で子どもに接触，②絵本を動かす，③絵本を見せる，④絵本を差し出す，⑤指さし，⑥行動モデルの提示，⑦言語指示，⑧ページめくり，(b)乳児の反応；①並列注意（交互注視なしの共同注意），②応答的共同注意（交互注視ありの共同注意），③無視，の行動をコード化した。(2) 乳児および母親の対象別注視時間は：(a)相手の顔，(b)絵本，(c)それ以外を注視した時間が測定された。その結果、ナレーション音声が入力されたデジタル絵本では、応答的共同注意（交互注視ありの共同注意）が減少することが示され、共同注意の直前の母親の視線を測定することにより、子どもへの注視が減少していることが示されたため、デジタル絵本が乳幼児の社会認知発達を阻害するリスク要因の一つは母親の子ども注視の減少である可能性が示唆された。
また、これらのデータの解析について、当該分野の第一人者である英国大学の教授より助言を受けた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先にも述べた通り、平成27年度は、デジタル絵本の作成とそれを使用した母子自由遊び場面の設定、その分析が目的であった。研究初年度は、研究実施準備としてプレイルームの設置および参加者募集フィールドを作成することに、多大な時間と労力が必要になる。それにも関わらず、絵本の作成、母子行動観察の実施およびデータ解析を実施できており、それらの結果の一部をThe British Psychological Society Developmental Section and Social Section Annual Conference 2015、日本心理学会において発表済であり、さらには、24th Biennial Meeting of the International Society for the Study of Behavioral Development (ISSBD)において発表予定である。よって、おおむね順調に進展していると言えよう。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成28年度においては、さらに、アイトラッカーによる詳細な視線の解析および録音音声による音声解析を実施する。それらの結果を元に、応答的共同注意を増加させる相互作用パタンを抽出し、より良い効果をおたらすデジタルアプリケーションの使用方法を検討する。
平成29年度は、これまでの結果を元に、応答的共同注意の生起を抑制する、もしくは促進するデジタルアプリケーションの機能を抽出し、発達へのリスクを軽減できるアプリケーションの開発を試みる。
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| Causes of Carryover |
今年度計上していた物品は解析の際に使用するものであったため、課題実施の様子を確認したのちに購入することに決め、購入を遅らせたのが主な理由である。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度の残額と今年度予算とを合わせ、今年度の前半に解析用物品および今年度使用物品を購入する予定にしている。
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[Presentation] The Effect of Electronic Picture-books Interactions between Mother and Infant on Joint Attention and Their Gazes2016
Author(s)
Sato, A., Sato, T., Ishikawa, Y., Saito, Y., & Horikawa, E.
Organizer
24th Biennial Meeting of the International Society for the Study of Behavioural Development
Place of Presentation
Vilnius, Lithuania
Year and Date
2016-07-11 – 2016-07-14
Int'l Joint Research
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[Presentation] Effects of Shared Electronic Books Reading Between Mother and Infant on Joint Attention2015
Author(s)
Sato, A., Sato, T., Ishikawa, Y., Saito, Y., & Horikawa, E.
Organizer
The British Psychological Society Developmental Section and Social Section Annual Conference 2015
Place of Presentation
Manchester, United Kingdom
Year and Date
2015-09-09 – 2015-09-11
Int'l Joint Research
