2018 Fiscal Year Research-status Report
中所得国マレーシアにおける財政と民主主義:開発志向国家の再考に向けて
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15K21493
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
鈴木 絢女 同志社大学, 法学部, 准教授 (60610227)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マレーシア / 権威主義 / 汚職 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主な業績は、論文1本、学会報告1回である。 鈴木絢女(2018)「マレーシアの長期政権 : 起源、発展、溶解、終焉 (特集 アジア権威主義体制の共通項) 」(『東亜』616、18-26、招待あり)では、財政配分や政府系企業(GLC)を通じた分配により権力基盤を確立した与党統一マレー国民戦線(UMNO)が、民族政策のマネージに失敗して選挙での優位を失ったことから、さらに支持者に対して分配を増やし、これが汚職やマネー・ポリティクスとして野党による攻撃の標的となっていく過程を描いた。 また、比較政治学会研究大会(2018年6月24日、於東北大学)では、「制度化された汚職:マレーシアにおける与党の凝集性と政治の安定化に関する研究」とする研究報告を行った。この報告では、与党の安定性を目的として公共事業や政府系企業にまつわる汚職が恒常的に行われていること、そのために汚職取り締まり機関による執行が極めて選択的であることを、汚職対策局資料等に基づき示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2018年8月に出産したことから、予定していた海外出張はすべて取りやめ、補助機関の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、最終年度として、これまでの知見を英語論文としてまとめ、公刊することを目標とする。また、マレーシアの決算書のデジタル化が、現地協力者の都合により遅滞しているため、これも進める。 他方で、「開発志向国家の再考」という本プロジェクトの目的に鑑みて、開発志向国家の失敗例とされるフィリピンの財政との比較も試みたい。とりわけ、中央レベルでの予算作成と実際の執行のプロセスを比較することで、両者の違いが明らかになると考えている。なお、フィリピン側の資料については、すでに現地協力者との関係構築が進んでおり、収集・分析体制が整っている。
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Causes of Carryover |
2018年8月の出産に伴い、海外出張をキャンセルしたため。
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Research Products
(3 results)