2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K21499
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
森 類臣 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 研究員 (60635093)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 北朝鮮 / 音楽 / 芸術 / 政策 / 音楽団 / 系譜 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度(平成27年度)は北朝鮮の音楽政策を歴史的に考察する作業に従事した。具体的には次のとおりである。 1. 主流音楽団の系譜を整理・分析するため、関連資料の収集を積極的に行った。特に、一次資料については順調に収集できていると考える。 2. 一次資料の収集をしながらそれらを分析していく作業を行った。主流音楽団の系譜については歌劇団系列、オーケストラ系列、合唱団系列、軽音楽団系列というようにジャンル別に系列化する一方、それぞれの系列の関連性を把握することに努めた。また、党・軍・芸術諸団体のいずれの系列なのかという点からも分析を試みた。この作業の成果については、国際学術会議で発表を行った。 3. 金日成時代、金正日時代、金正恩時代というように大まかな時期区分をしながら、各時期の音楽政策の特徴を導出する作業を進行中である。これについては、各時期の政治経済状況、国際関係などを必要に応じて把握していくことが重要となるし、時期区分をさらに細分化する必要もあるかもしれない。よって、この作業はある程度時間をかけつつ進捗させる予定である。 4. 芸術とプロパガンダを扱う社会学理論や事例研究を調査し、整理する作業も開始した。この作業自体は2016年度(平成28年度)に本格的に行う予定であるが、文献を収集するなど予備調査的な準備作業を2015年度(平成27年度)にもある程度進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「建国期以降の主流音楽団の系譜を整理・分析し、北朝鮮の音楽政策を歴史的に捉える」という2015年度(平成27年度)の目的は概ね達成できたといえよう。しかし、まだ残っている課題もある。特に、金日成時代、金正日時代、金正恩時代という時期区分において、各時期の音楽政策の特徴を導出する作業については現在進行中であり、ある程度時間をかけて分析する必要があると考えている。特に、金正日時代には音楽政策が整備され理論的にも探求されたという事実があるため、音楽政策を歴史社会学的にとらえる上でこの時期の分析は重要であり慎重に接近する必要があると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は以下のようである。 (1)2015年度(平成27年度)の成果(主流音楽団の系譜の整理・分析)についてはすでに国際学術会議で発表したが、これを論文にまとめて学術誌に投稿する。 (2)金日成時代、金正日時代、金正恩時代という時期区分において、各時期の音楽政策の特徴を導出する作業を引き続き進捗させる。 (3)芸術とプロパガンダを扱う社会学理論や事例研究を調査し、整理する。特に、本研究対象に適合可能性の高い理論や類似性のある事例については重点的に考察を進める。
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Causes of Carryover |
2015年度は、調査過程で日本や韓国・中国において一次資料が予想より多く所在することがが分かったため、これらの収集と分析に集中した。よって、当初予定していた米国の国立公文書館(Naional Archives)での資料収集は、2016年度(平成28年度)以降に行うよう計画を変更することにした。そのため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度(平成28年度)は米国の国立公文書館(Naional Archives)での資料収集を予定している。よって、2015年度(平成27年度)の「次年度使用額」についてはそのための費用に充当させたいと考えている。
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Research Products
(4 results)