2015 Fiscal Year Research-status Report
高度制御マイクロ波の非熱照射による難治性癌治療システムのための基礎的研究
Project/Area Number |
15K21516
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
浅野 麻実子 大阪薬科大学, 薬学部, 助手 (20582133)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マイクロ波非熱照射 / 癌細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新規癌治療構築のための基礎研究として、マイクロ波の非熱照射が誘導する癌細胞死をより精密に解析することである。本年度はまず、マイクロ波非熱照射が各種培養細胞の生存率に与える影響について調べた。周波数2.45 GHzのマイクロ波を、培養細胞の温度が37°Cに維持されるよう非熱照射した。8種類の培養細胞(HL-60, MFC-7, MDA-MB-231, MCF-12A, Panc-1, T98G, KATO III, HGC-27)にて検討した結果、正常ヒト乳腺上皮細胞株MCF-12Aを除く7種類がマイクロ波照射により死滅した。 次に、これらの培養細胞の誘電特性を調べるため、ネットワークアナライザーを用いて細胞のε’及びε’’を測定し、tanδを算出した。その結果、2.45 GHzにおいては細胞間の誘電特性に有意な差が確認されなかった。つまり、マイクロ波エネルギーの吸収能は、細胞間に有意な違いが見られないことが示唆された。 また、8種類の培養細胞の中で最も生存率が低下したヒト骨髄性白血病由来HL-60細胞に対して、照射条件(照射時間・出力)を変動させてマイクロ波を照射し、生存率を確認した。更に、ジュール熱との相関を調べた。その結果、総ジュール熱に相関して生存率の低下が見られた。 加えて、マイクロ波非熱照射と抗癌剤との併用効果について検討した。HL-60に3種類の抗癌剤(Cytarabine, Camptothecin, Etoposide)をそれぞれ添加して検討を行ったところ、非熱照射による併用効果の増大は確認できなかった。 更に、本研究に使用しているマイクロ波照射装置の電磁界強度をCOMSOL Multiphysicsを用いてシミュレーション解析した。 尚、本研究成果の一部は、京都大学生存圏研究所の全国国際共同利用「先進素材開発解析システム」を利用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、マイクロ波照射装置の改良・製作に遅れが生じた。そのため、細胞へ照射可能なマイクロ波の条件が限局され、研究の一部が実施できなかった。しかし本年度は、次年度以降に予定していた研究内容を前倒しして実施できた。そのため、今後は計画通りの研究が実施できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、マイクロ波照射装置の製作を完了し、幅広いマイクロ波照射条件にて細胞への影響を検討する。また、マイクロ波が誘導する細胞死の経路を生化学的手法により網羅的に解析する。加えて、化学療法を含めた他の癌治療法との併用効果を評価する。最終的には、担癌モデルマウスにて生体内評価を行う。そのためのマイクロ波照射装置の設計も併せて行う。
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Causes of Carryover |
本年度は、マイクロ波照射装置の改良と製作を行った。本装置にかかる費用として前倒し支払請求をしていたが、予定より時間を要し、年度内に製作を完了することができなかった。そのため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、マイクロ波装置の製作を完了する。そのための物品費等として使用予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] マイクロ波の非熱性効果が種々の培養癌細胞に与える影響2015
Author(s)
浅野麻実子, 川瀬雅也, 坂口実, 田中智, 仲谷博文, 尾崎敬, 山口敬子, 高岡昌徳,藤田芳一, 松村人志, 田伏克惇
Organizer
第34回microwave surgery 研究会
Place of Presentation
東京
Year and Date
2015-09-11 – 2015-09-12