2016 Fiscal Year Research-status Report
高度制御マイクロ波の非熱照射による難治性癌治療システムのための基礎的研究
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15K21516
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
浅野 麻実子 大阪薬科大学, 薬学部, 助手(移行) (20582133)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マイクロ波癌治療 / アポトーシス / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ヒト骨髄性白血病由来HL-60細胞にマイクロ波非熱照射を行い、細胞死メカニズムの解析を行った。対照は、42.5°Cにて同時間静置後、同様に培養した。その結果、マイクロ波非熱照射による細胞死は、主にミトコンドリア傷害によるカスパーゼ非依存的アポトーシスであった。Apoptosis-inducing factor (AIF)がミトコンドリアからサイトゾル内に漏出し、その後DNAの断片化が確認された。一方で、シトクロムCのサイトゾル内漏出も確認されたが、Apoptotic protease activating factor 1 (Apaf-1)及びカスパーゼ9の発現が確認されず、Apoptosomeが形成されていないことが示唆された。その結果、カスパーゼ3/7は活性化されず、カスパーゼ依存的アポトーシスは進行しなかった。一方で、42.5°Cで熱処理した細胞は、ミトコンドリア傷害が起こらず、カスパーゼ8及び3/7の活性化による細胞死が誘導された。また、非熱照射の細胞ではHeat Shock Protein70 (HSP70)が発現誘導がなく熱ストレスに応答しなかった一方で、熱処理細胞では発現誘導された。 更に、マイクロ波非熱照射が癌幹細胞様細胞に及ぼす影響を確認した。ヒト乳腺癌由来MDA-MB-231細胞の癌幹細胞様細胞であるCD44陽性/CD24陰性細胞は、照射時間依存的に死滅し、数が減少した。次に、細胞の転移能を評価するため、マイクロ波非熱照射後の細胞の接着・遊走・浸潤能を解析した。その結果、いずれも有意に低下した。更にマイクロ波照射では、細胞外基質タンパク質の分解に関わるMatrix metalloproteinase-2 (MMP-2)の活性が低下した。 また昨年度に引き続き、京都大学生存圏研究所の全国国際共同利用「先進素材開発解析システム」を利用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、本年度までに培養細胞を使用した基礎検討を終了できた。マイクロ波の非熱照射による細胞死経路を詳細に解析するとともに、癌幹細胞への影響を解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、これまでの研究成果を基に担癌マウスを用いたin vivoでの解析を行う。現在、担癌マウスに用いるマイクロ波照射プローブを開発中である。腫瘍内に照射されるマイクロ波エネルギーのシミュレーション解析を行うと同時に、腫瘍が死滅する照射条件を探索し、生化学的解析を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は、共同研究先から備品等を無償譲渡頂けたため、使用額を抑えることができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
担癌マウス作製や、本マウス実験に使用するマイクロ波照射プローブの設計に使用する。
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Research Products
(4 results)