2015 Fiscal Year Research-status Report
RNA干渉の作用長期化を目指した新規プロドラッグ型siRNAの開発
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15K21517
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
林 淳祐 大阪薬科大学, 薬学部, 助手 (30740295)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | siRNA / プロドラッグ / 核酸医薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室で開発したプロドラッグ型siRNA分子である2'-O-メチルジチオメチル(MDTM)-siRNAに関して、本年度は①RNA干渉に基づく遺伝子発現抑制効果、② 4種の核酸塩基 (アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル) を含むアミダイト体 (オリゴ核酸合成前駆体) およびオリゴ核酸の合成法の確立を行った。 ①では、既に確立済みの「オリゴ核酸合成後修飾法」により21塩基中のウラシル部位を1修飾, 2修飾, 4修飾MDTM化したRNAをセンス鎖側、アンチセンス側に対してそれぞれ合成し、そのルシフェラーゼ遺伝子に対する抑制効果を調べた。その結果MDTM-siRNAは修飾数、修飾部位に関わらず、天然型siRNAとほぼ同じ遺伝子抑制効果を示した。このことから、MDTM-siRNAは細胞内還元環境に応答し、速やかに天然型siRNAに戻ることでRNA干渉能を示すことが考えられた。またその修飾部位や個数に制限が無いことも予想され、RNA干渉能の長期化などの多機能性を有するsiRNAへの応用も十分に可能であることが考えられた。 ②では、4種の塩基を有するアミダイト体の収率改善を目指し、アミダイトに至る合成中間体である2’-O-トリメトキシベンジルチオメチル (TMBTM) ヌクレオシドの合成検討を行った。それぞれの核酸塩基に対して反応温度、溶媒を最適化させることで、2’-O-メチルチオメチル体からTMBTM体を満足のいく収率で得ることに成功した。その後の工程を経て得られたTMBTM-アミダイト体は、DNA自動合成機にてオリゴ核酸中へと効率よく導入することが出来た。現在、得られたオリゴ核酸を用いて「オリゴ核酸合成後修飾法」によるMDTM体への変換を検討しており、既にシトシンを含む部位のMDTM化は効率よく進行することを確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は最優先事項として、MDTM-siRNAの遺伝子発現抑制効果に関して検討してきた。本年度の研究実績の概要にも示した通り、RNA中のいくつかの部位にMDTM修飾を加えたsiRNAの合成に成功し、そのsiRNAが十分なRNA干渉能を有することを確認できた。 またオリゴヌクレオチド合成前前駆体である4種の核酸塩基を有するホスホロアミダイト体も満足のいく収率で得ることに成功しており、得られたホスホロアミダイトを用いてRNA合成にも成功している。 以上の結果を基に来年度以降のsiRNAプロドラッグの機能拡張に向けた検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の予定どおり更なる機能拡張へ向けて、①修飾siRNAの合成法の確立、②その物理的性質及び化学的性質に関する基礎検討を行う予定である。 これらの検討により得られた知見から、修飾siRNAのRNA干渉能の長期化などといった機能拡張を目指していく。
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Causes of Carryover |
本年度は高額な細胞実験関連試薬を主に購入していたが、設計したsiRNAが優れた効果を示したことから条件検討に多くの消耗品を利用する必要が無かった。次年度以降、このsiRNAの遺伝発現抑制効果と置換基の効果を網羅的に解析するために別のアッセイでの検討を予定している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
mRNAレベルでの遺伝子抑制効果を調べることを目的とし、リアルタイムPCRなどの手法を用いて修飾siRNAの遺伝子発現効果を網羅的に解析する予定である。可能であれば、特定の病態タンパクに対する遺伝子発現抑制効果の検討も行っていきたいと考えている。
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