2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K21519
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
廣岡 大祐 関西大学, システム理工学部, 助教 (10634016)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 空気圧 / 流量制御 / 圧電素子 |
Outline of Annual Research Achievements |
空気圧システムは軽量、安価であることから生産ラインなどに広く用いられている。また、コンプライアンス性の高さから、医療用のロボットなどの駆動源としても注目されている。一方で、空気圧システムは空気圧の圧縮性、空気圧配管での伝達遅れなどの影響により、電磁、油圧などのほかのデバイスと比べて制御性が落ちるという欠点がある。本研究では、小型で応答性の高い、流量比例制御弁を開発を行っている。開発している制御弁は圧電素子による振動で空気管路内部の微粒子を振動させることにより流量を調整することが可能である。過去の研究では小型の試作機を用いて、圧電素子に印加する電圧を変化させることで、連続的な流量特性を得ることに成功した。この制御弁は圧電素子を用いることで、高い応答性と制御弁の小型化が見込まれる。そこで、比例的で安定した流量特性を目指して制御弁の各条件の最適化を目指し研究を行った。その結果、空気配管径と空気管路上のオリフィスの開口面積比に着目し、安定的に流量を得るために必要な配管径の条件を明らかにした。次に、振動条件を考慮し、オリフィスの配置位置を最適化することで、圧電素子に印加する電圧に対して比例的な流量特性を得ることに成功した。さらに、微粒子の材質、形状、質量が流量特性に与える影響を明らかにし、流量を増加する際に限定されるが、連続的に安定した流量特性を得ることに成功した。また、空気圧と圧電振動の影響を調査することで、安定した流量特性を得るために必要な圧電素子の駆動条件を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、制御弁の流量特性に影響を与える要素として制御弁の振動特性、オリフィスの配置条件、オリフィス径、制御弁内部の構造、弁駆動時の微粒子の挙動が考えられてきた。昨年度の研究により、振動特性、オリフィスの配置条件が制御弁の流量特性に与える影響が明らかにされた。また、条件を制約することで、微粒子の駆動が流量特性に与える影響を明らかにした。以上の結果を踏まえ、比例的な流量特性を実現するために必要な振動特性とオリフィス配置条件の関係を明らかにすることに成功した。その結果、印加電圧に対し比例的な流量特性を得ることが出来た。また、微粒子の質量、寸法が制御弁内部の挙動に与える影響を実験的に確認し、限られた条件下ではあるが、連続的に安定した流量特性を得ることが可能な制御弁の駆動原理を考案した。考案した制御弁では、安定した流量特性を高い応答性で実現することにも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、制御弁内部の構造と弁駆動時の微粒子の特性を明らかにするために、微粒子挙動観察システムを確立する。現在までに、システムの構成は設計済みであり、今後実際に作製を行い、微粒子の挙動を確認し、特に流量減少時の流量特性の安定を目指し、研究を進めていく。また、実用化を目指し、開発した制御弁を空気圧シリンダに搭載し、目標位置での停止、駆動中の速度変更実験を行う。また、開発している制御弁を用いた空気圧アクチュエータ制御システムを構築し、開発している制御弁の有効性を明らかにする。制御システムの対象として、一般的な空気圧シリンダを想定し、シリンダの位置情報、制御弁の駆動情報を同時に取得できるシステムを開発中である。このシステムを用いて、アクチュエータの制御実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
申請時にはレーザードップラー振動計を購入し、現在使用しているシステムと組み合わせて測定に用いる予定であったが、NF社より新型のロックインアンプが発売されたため、新たにレーザードップラー振動計を購入する必要がなくなった。結果、ロックインアンプとレーザードップラー振動計の差額が生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度の研究成果より、比例的な流量特性をもたらす要因と安定的に流量制御するために必要な条件が明らかになった。そこで比例的な流量特性をもたらす要因について、Acutuator2016にて発表を行う予定である。また、安定的な流量特性をもたらす要因について、International Ultrasonics Symposium2016で公表するため、発表に向けて準備を進めていく。本年度は安定的な流量域の拡大を目指し、研究を行っていく。まず、弁駆動時の微粒子の微粒子の挙動を明らかにするために、工業用内視鏡を購入し、微粒子観察システムを構築する。また、制御弁の有用性を確認すべく専用の空気圧シリンダとシリンダの駆動中の挙動を観察する加速度センサを購入し、アクチュエータ駆動システムを製作し、制御を行う。これらの結果は精密工学会秋季講演会とフルードパワー学会秋季講演会にて発表する予定である。
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