2017 Fiscal Year Research-status Report
信用格付けを利用した医療機関の経営財務評価と資金調達の多様化に関する総合的研究
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15K21521
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
田村 香月子 関西大学, 商学部, 准教授 (40411491)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 医療機関の資金調達 / 信用格付け / レベニュー債 / 医療機関債 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究期間の最終年度にあたる平成29年度は、まず前年度に引き続き、医療機関の資金調達に関する日本と米国の比較分析を行った。 米国においては、公的医療機関がレベニュー債の発行により資金調達を行う例が見られる。レベニュー債には信用格付けが付されるが、それぞれの格付けには差がある。レベニュー債の返済の原資は、レベニュー債が対象とする事業の収益、すなわち医療機関の場合においてはその収入であり、信用格付けの格差はこれらの医療機関事業の信用格差を表している。レベニュー債はこうした特定事業にかかる債券となるため、事業の失敗により債務不履行、すなわちデフォルトが発生する。デフォルトの状況をみると、医療機関関連のレベニュー債のデフォルト率は比較的高い。こうした米国の医療機関の現状を観察し、わが国医療機関へのレベニュー債、もしくは同様の資金調達方法の導入を検討した。結果、わが国の医療機関の資金調達の多様化においては、同様の債券を組成または評価する制度の拡充がさらに必要であること、また信用リスクが顕在化する可能性があるならば、それに合わせた法整備等が必要であること、などが指摘できる。これら研究の成果については、関西大学経済・政治研究所「第226回産業セミナー」2017年10月19日にて報告を行い、また同研究所刊『セミナー年報』2018年3月31日、pp.151-157に「米国地方債市場とレベニュー債」のタイトルにて公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
医療機関に対する信用格付けと医療機関財務の関連についての研究に着手したが、わが国で信用格付けを取得する医療機関が減少したため、分析を一端中断した。また、債券を発行している医療機関への調査や米国の医療関連債券発行に関する実地調査を実施できず、信用格付を用いた医療機関経営分析のモデル構築には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の進捗を遅らせているインタビュー調査について、インタビュー先となる2医療機関へのアポイントメントとスケジュールを調整し、行う必要がある。特に近年、比較的活発に医療機関債を発行している医療機関には早急にインタビューを行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していたインタビュー調査を実施できなかったため、次年度使用額が生じた。これに関しては、インタビューを予定している2医療機関について、スケジュールの調整を行い、実施する予定である。
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