2018 Fiscal Year Annual Research Report
Return Policies from a Risk-Averse Newsvendor Model
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15K21528
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
大村 鍾太 桃山学院大学, 経営学部, 准教授 (40724050)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 返品制 / 新聞売り子モデル / サプライチェーンマネジメント / リスク回避モデル / 百貨店 / アパレル産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は一部不完全となっていた分析と考察のために、研究期間の延長申請を行った期間である。研究期間の後半では研究を収束させるために、日本において豊富な研究蓄積のある、百貨店とアパレルメーカー間の返品制に対象を絞り、実際の取引構造をもとに、返品制の価値をモデル分析により明らかにすることを目指した。本研究で扱う新聞売り子モデルを用いた研究では基本的にサプライチェーンの上流にある製造もしくは卸売企業がリーダーとして取引の主導権を持つモデル(取引に大きな影響を与える卸売価格の決定を行うモデル)が一般的であり、多くの研究蓄積がある。しかし百貨店とアパレルメーカーでの返品制では下流側である百貨店をリーダーとするモデルが適切であることが明らかになり、それを考慮したモデルを構築し分析を行った。 卸売価格契約(返品がない取引契約、百貨店においては買取仕入れと呼ばれる)から返品制を導入する際の利益とリスクの変化を分析すると、数理モデルが導く均衡解とは異なる取引が行われていたことが明らかになった。既存文献によると返品制導入に際し、百貨店は卸売価格の水準(上代掛率)を維持していることが示されており、これに基づき数理モデルの分析を適応すると、リスクを一方的にアパレルメーカーに負担させる構造が明らかになった。しかしこのような構造であっても、①市場の不確実性の程度によっては、アパレルメーカーの大きな負担にならない可能性があること、②サプライチェーン全体では最適化された、小売価格と在庫量が設定できることが示された。戦後の経済成長の時期ではこの2点により、返品制が機能したことが考察される。一方で、選考の多様化による不確実性の増大とアパレルメーカーによるサプライチェーンマネジメントの発展により、一方的なリスクを負う百貨店でのビジネスからSPAモデルに変化していくインセンティブも発生していたことが示された。
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Research Products
(1 results)