2015 Fiscal Year Research-status Report
海洋性珪藻新規ピレノイド因子の機能同定~海洋一次生産を担う葉緑体機能のモデル化~
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15K21531
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
菊谷 早絵 関西学院大学, 理工学研究科, 博士研究員 (00709272)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 無機炭素濃縮機構 / タンパク質 / 光合成 / タンパク質間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでLCIBホモログとしていた因子を,他の生物との保存性の高い約100アミノ酸の領域をCys, Gly, His rich(CGHR) domainと名付け,その生化学的機能の同定を行った.海洋性羽状目珪藻Phaeodactylum tricornutumのCGHR familyタンパク質の一つであるPt43233を大腸菌で発現させ精製し,その酵素活性を測定することにより機能の同定を行った.また,珪藻内で発現させたPt43233:GFPタンパク質をGFP抗体を用いて免疫沈降を行い,酵素活性測定を行った結果,高い炭酸脱水酵素活性が得られ,CGHR familyは新規の炭酸脱水酵素であることが明らかとなった. また,P. tricornutumにおける新規ピレノイド局在タンパク質を探索するため,光クロスリンク実験を行い,ピレノイドに局在する炭酸固定酵素RubisCOと架橋するタンパク質の同定を行った.その結果,いくつかの候補因子が得られ,そのGFP融合タンパク質をP. tricornutumにおいて発現させることにより局在観察を行った.その結果,一つの機能未知因子がピレノイド周辺に局在することがわかった.現在この因子の機能同定のため,発現抑制体の作製を試みている. 同様の光クロスリンク実験を海洋性中心目珪藻Thalassiosira pseudonanaにおいても行うため,架橋剤の取り込み条件の検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RubisCO抗体を用いた免疫沈降実験では,架橋により形成された超分子複合体が大きすぎるためか沈降されないという問題が生じたが,スクロース密度勾配遠心によりRubisCOを含む画分を分画する等条件検討が必要となった.密度勾配遠心後の画分から,RubisCOとともに検出された因子の中にピレノイド周辺に局在することが示唆される因子が得られた.ピレノイドの構造や機能の解明に繋がる因子であることが示唆され,今後の研究の進展が期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
P. tricornutumにおいては,新規のピレノイド関連因子が得られたので,その機能同定を中心に行う. 海洋性中心目珪藻においても同様の実験を行い,ピレノイドの構造や機能について珪藻における普遍性について検討する.T. pseudonanaにおいては,すでにP. tricornutumにおいてピレノイドおよびその近傍への局在が明らかになっている因子について局在及び機能の同定を試みる.
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Causes of Carryover |
当初国際学会参加のための旅費を計上する予定であったが,参加登録が前年度であったため,旅費の支出額が大幅に減少した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでに羽状目珪藻P. tricornutumにおいて有力なピレノイド因子が得られているため,中心目珪藻においても同様の実験を進めるための試薬購入にあてる.
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