2015 Fiscal Year Research-status Report
TRPA1を標的とする漢方薬含有化合物データベースの構築とその薬理機序の解明
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15K21538
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
王 勝蘭 兵庫医療大学, 薬学部, 助教 (50714359)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | TRPA1 / 漢方薬 / 疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.鎮痛作用を持つ漢方薬を文献的に検索した。(1)臨床報告、臨床試験データベース、薬理研究などの文献を網羅的に調べた。薬効が確実で安全性が確立しているものから厳選し鎮痛効果のある生薬、漢方薬をピックアップした。すでに有効成分が同定できた天然薬物から文献的にその化合物ライブラリを作成した。(2)文献検索で候補漢方や天然薬物を入手し、そのエキス溶液をin vitroの細胞実験に使用できるよう適正化した。 2.TRPA1活性を持つ漢方薬含有化合物のスクリーニングを行った。(1)TRPA1を強制発現したHEK細胞評価系を用いて、細胞内カルシウムアッセイ(Flex Station3)を行った。TRPA1に対して薬理活性を示す漢方薬含有成分をスクリーニングした。それぞれの化合物のEC50を求めて、報告されたTRPA1のagonist(allyl isothiocyanate, AITC)のEC50と比較した。抑制作用の有無の確認はAITCと同時添加で見られる反応で評価した。抑制作用が確認した化合物について、IC50を求めて、既知のTRPA1のantagonist(HC030031)のIC50と比較した。(2)上記研究で得られた漢方薬由来化合物の一部をパッチクランプ法を用いて、発現系HEK細胞系において検討した。それぞれの化合物のTRPA1チャネルに対する調節機構を調べた。 3.正常動物の疼痛行動に対する影響を検討した。Nocifensive behaviorにて、一部の化合物の正常ラットの疼痛行動に対する影響を検討する。活性化効果を持つ化合物をラットの足裏に注射して、痛み行動を測定した。抑制効果を持つ化合物をラットの足裏に注射後AITCを注射して、鎮痛効果を調べた。 (特許申請や論文作成の関係上、生薬名や化合物名を公表しなかった)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、下記の研究を行い、一定な成果を得られたので、研究は概ね順調に進展していると判断した。 1.細胞内カルシウムアッセイ(Flex Station3)を用いた漢方薬生薬成分のクリーニング方法を確立した。 2.漢方薬含有成分の中、TRPA1チャネルをターゲットする化合物を幾つか発見した。 3.これらの化合物を正常動物に投与し、疼痛行動に対する影響を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、研究計画通りに実験を行う予定。 1.TRPA1の分子調節機構を解明する(Patch Clamp法)。TRPA1を強制発現させたHEK細胞を用いて実験を行う。(1)H27年度の実験でTRPA1刺激効果が見られた化合物に対しては、カルシウムイメージング法やパッチクランプ法を用いて、化合物の薬理効果の時間経過を観察し、TRPA1に対する脱感作効果(desensitization)の有無を確認する。さらに細胞外カルシウムや細胞内シグナル伝達因子との関連を調べる。(2)H27年度実験でTRPA1抑制効果が確認できた化合物に対して、まずTRPA1のアゴニストAITC刺激で発生する内向き電流(TRPA1電流)を、Patch Clamp法で測定した後、漢方化合物の存在下にAITCを投与する。TRPA1電流に対する化合物の影響(抑制の有無や、持続時間など)を観察する。次に、PKAやPKCなど細胞内リン酸化酵素やその阻害薬、タンパク細胞内輸送阻害薬などを投与し、化合物によるTRPA1機能調節の分子メカニズムを解明する。 2.慢性・難治性疼痛動物モデルに対する鎮痛効果を検討する(行動薬理学実験)。各種の疼痛モデル(CFA炎症性疼痛モデル、Spinal nerve ligation神経障害性疼痛モデル、TNBS、DSS内臓痛モデル、など)を作成し、スクリーニング実験で発見した薬物や化合物の上記モデル動物に対する鎮痛効果を行動学的に解析する。
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Causes of Carryover |
計画通り研究を実施したが、実験方法を改良したため消耗品の節約ができ、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に使用する消耗品の購入に充当する。
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Research Products
(2 results)