2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K21541
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
実吉 玄貴 岡山理科大学, 生物地球学部, 講師 (50522140)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 石英粒子 / カソードルミネッセンス / 恐竜化石 / 上部白亜系 / モンゴル国 |
Outline of Annual Research Achievements |
モンゴルゴビ砂漠に分布する上部白亜系からは、数多くの恐竜化石が産出する。近年、違法発掘による盗掘化石標本が、モンゴル政府によって多数押収・保管されており、これらの研究・教育への活用が模索されている。本研究では、地層中に含まれる石英粒子のカソードルミネッセンス(以下、CLと呼称)特性に注目し、石英粒子の鉱物科学的特性を用いた、地層および産出地の特徴化を試みる。 今回用いるCL分析では、石英内部に含まれる不純物(構造欠陥)を鋭敏に感知できる。これまでの研究により、石英粒子のCL分析により感知できるFe、Al、Ti、NBOHの存在に注目し、得られた光学スペクトルより発光中心を波形分離し、スペクトルの面積比を得ることで、石英を粒子毎に特徴化する。これを定量解析(クラスター分析や主成分分析)することで、石英粒子を供給した後背地特性を反映した地層および産地の特徴を解析する。 本研究では、風成層から構成されるDjadokhta層を解析の対象とした。Djadokhta層からは数多くの恐竜化石(ProtoceratopsやVelociraptorなど)や、脊椎動物化石が産出している。ここでは、化石を産出する主な4地点(Tugrikin Shireh、Alag Teg、Bayn Dzak、Udyn Sayr)を比較することで、産地間および地層の対比に有効な石英粒子の物理化学的特性を定量的に明らかにする。野外にて採取される石英粒子と、盗掘化石より採取される石英粒子の鉱物化学的特性を直接比較することで、盗掘化石の学術的価値の再生を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年目である本年度の主な目的は、昨年度明らかにできたDjadokhta層の分布する4地点と石英粒子、産出地が判明している恐竜化石の基質部から採取した石英粒子、産出地不明な脊椎動物化石の基地室から採取した石英粒子のCL特性を用いて直接比較することであった。その結果、Djadokhta層内には、2つの異なる鉱物特性を示す石英粒子の集団が存在し、かつ地理的分布と関係している可能性が高まった。この違いを用いて、化石に付着した石英粒子の識別を試みた結果、これを用いて地理的な分布を特定できる可能性が示唆された。さらに、CLとは異なるESR(Electron Paramagnetic Resonance、電子スピン共鳴)を用いた石英粒子の分析を開始し、層序学的な違いを反映したと考えられる予察が得られた。さらに、追加の石英粒子サンプルを、モンゴル科学アカデミー古生物学地質学研究所が保管する盗掘化石、およびYagaan Khovilより採取した。Yagaan Khovilは、前述した産地から、さらに西方へ位置する化石産地であり、より広範囲な地理的分布を比較するため、試料採取を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である次年度の主な目的は、本手法を用いた盗掘化石の産地同定法の開発である。前年度採取した石英粒子のCL特性を分析するとともに、他の産地と比べより湿潤な地層を含むUdyn Sayrに注目し、石英粒子の運搬過程と本分析で得られるCL特性との関係性を明らかにした上で、Djadokhta層におけるCL特性、および同層より産出したと考えられる盗掘化石の地理的分布や産出地を推定する。最後に英語での論文執筆に取り掛かる。現在のところ、研究は順調に進捗しており、計画の大幅な変更はない。また研究を遂行する上で大きな問題は発生しておらず、引き続き研究を継続する。
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Causes of Carryover |
当初、2年目に計画した野外調査を、初年度中に終了したため、野外での試料採取が必要なくなった。そのため、野外調査時に使用するとして計上としていた予算(人件費とその他)の執行が実施されたなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度は、当該研究遂行のため、必要な調査を実施する予定である。これらの調査時に、予算を使用する予定である。さらに、論文執筆、国際学会発表、最終年度報告書の作成等を実施するため、これらに予算を使用する予定である。
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Remarks |
概略を学科ホームページ、詳細を研究室ホームページへ掲載。特に出張に関わる調査研究では、必ず詳細を研究室ホームページに掲載している。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Trace fossils on dinosaur skeletons from the Upper Cretaceous of Gobi desert, Mongolia2016
Author(s)
TAKEUCHI, M., SANEYOSHI, M., Tsogtbaatar, Kh., Mainbayar, B., Ulizitseren, S.
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Journal Title
Bull. Natural Research Center of Okayama University of Science
Volume: 42
Pages: 47-52
Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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