2016 Fiscal Year Research-status Report
国際協力における心理支援ニーズと心理職活用に関する基礎的研究
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15K21552
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
高橋 佳代 鹿児島大学, 法文教育学域臨床心理学系, 准教授 (90616468)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国際協力 / 心理支援ニーズ / 心理職活用 / 国際保健医療 / 描画法 / 臨床動作法 / 心理劇 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国際協力分野における心理支援ニーズと心理職活用実態を調査、分析することである。政府機関が行う途上国支援とともに、日本に拠点をおく国際NPO/NGOが実施するプログラムにおける心理職の活用実態と現地心理支援ニーズについて検討を行う。 平成28年度は,国際NPO/NGOを対象にした調査を実施を開始し、国際協力分野における心理職活用実態と心理支援ニーズについて分析を行っているところである。このデータを元に、国際協力の人材育成ならびに心理職のキャリアディベロップメントへの提案を行っていきたい。 また、将来的な途上国支援を念頭において、非言語アプローチに注目し、臨床動作法、描画法、ドラマ法の活用について検討を進めている。特に社会的養護児のアセスメントと発達支援に注目し、非言語的な介入により児童を支援する具体的方法について知見を蓄積している。国際学会での発表や意見交換を通して、支援対象国の社会情勢や宗教、文化背景によって、支援者の役割や意義も大きく異なることが理解され、対象地域のニーズに応え、対象者のニーズを把握するためのアセスメントツールの開発の必要性が示された。また途上国で支援を行う前提として、言語を始めとする文化背景が異なるクライエントを支援するための援助の視点と技法の取得が必須であることが示され、心理職のキャリアディベロップメントの必要性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に従って、データを蓄積することができている。平成28年度は一昨年度に引き続き、国際学会での発表や研究者交流を通して、日本独自の心理臨床のあり方と国際協力分野での活用可能性が高い援助技法に関する知見を得ることができた。得られた知見を元に、臨床心理学的援助の可能性と人に注目した開発援助の視点について考察していく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方策としては、引き続き国際協力活動における心理支援ニーズと心理職活用実態についてデータを収集、蓄積していく。最終年度は、これまで収集したデータをまとめ、途上国における心理支援可能性とその具体的方策について考察を行っていく。 さらに、途上国における心理支援モデルを開発するため、途上国支援で活用可能性が高い非言語心理支援ツールについて引き続き多角的な検討を行なっていく。 次年度に向けた研究内容を以下のようにまとめる ①日本に拠点をおく国際NGO/NPOに対する調査をまとめる ②非言語心理支援ツール(臨床動作法、描画法)の有効性と活用可能性について多角的な検討を行う ③結果の公表、成果物の作成を行う
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Causes of Carryover |
日本に拠点をおく国際NPO/NGOへの調査の一部をWeb媒体で行うことにより、計上していた予算額に対し印刷費に余剰が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
European Congress of Psychologyでの研究発表旅費に当て、当該学会での研究発表ならびに意見交換を行うことにする。
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Research Products
(7 results)