2018 Fiscal Year Annual Research Report
Research on psychology support needs and psychology job utilization in the field of international cooperation
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15K21552
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
高橋 佳代 鹿児島大学, 法文教育学域臨床心理学系, 准教授 (90616468)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国際協力 / 心理支援ニーズ / 文化心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国際協力分野における心理支援ニーズと心理職活用実態を調査、分析することであった。日本に拠点をおく国際NPO/NGOの心理職の活用実態と現地心理支援ニーズについて検討をおこなった。平成30年度はその成果のまとめと考察を中心に行なった。調査対象となった国際協力事業を行う施設の事業の支援対象は「子ども」「女性」「被災者」など社会的に弱い立場にある人々を対象としたものであり、その半数以上の組織が心理支援ニーズを感じていることが理解された。また心理支援ニーズが高い領域としては「地域住民への啓発活動」を中心としたコミュニティ支援や組織を対象とした支援など地域やある集団を対象とした支援へのニーズが高いことが示された。これらのことから、心理支援ニーズとしては特定の疾患や対象を想定した個別的な問題解決型のサポートに対するニーズよりも、地域やコミュニティの健康増進や生活習慣の改善を目指し対象者の課題解決能力を育成する開発的サポートに対するニーズが高いことが考察された。対象組織のうち18%の組織において何らかの心理支援事業があったが、心理職を活用している組織はなかった。心理支援業務の内容としては、心理教育的内容や知識の普及に向けた事業が主であった。以上をまとめると、国際協力分野において一定の心理支援ニーズはあるものの心理職の活用には至っていないこと、心理支援ニーズの内容としてはコミュニティや組織の健康増進を求める開発的な支援ニーズが高いことが示された。今後の国際協力分野の心理職の活用と心理職のキャリアディベロップメントのためには、文化背景が異なるクライエントを支援するための援助の視点と技法の取得が必須であるが、それとともに、様々なアプローチを総合的に実施することで、相乗的な効果を引き出すコミュニティに介入する技術や知識の涵養が重要であることが考察された。
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Research Products
(3 results)