2015 Fiscal Year Research-status Report
布を介した触覚情報入力によるヒトの動作向上に繋がる方策の検討
Project/Area Number |
15K21553
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
大下 和茂 九州共立大学, スポーツ科学部, 講師 (10615826)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ライトタッチ効果 / 姿勢動揺 / 足圧中心点 / 共縮 / 衣類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は,布を介した触覚入力によるヒトの姿勢制御および動作を向上させる方策を検討することであり,平成27年度は布の接触と姿勢制御との関係を中心に調べ,主に以下の3点を明らかにした. 1) まず,これまで報告されている固定された物への接触が立位姿勢に与える影響について,床面に接触しているが固定されていない物(杖など)に触れることでも動的および静的な姿勢制御が向上することを明らかにした.また,静的立位時における下腿筋活動を調べた結果,触覚入力によって,足関節底屈筋(ヒラメ筋)と足関節背屈筋(前頸骨筋)の共縮が有意に小さくなることを明らかにした.すなわち,立位時に触覚情報を入力することにより,身体各部位の相対的な位置関係の変化が知覚できるため,共縮により足関節周りのstiffnessを高めずとも,姿勢を保持しやすくなる可能性を示した. 2) 次に,姿勢制御と触覚の関係を布の接触に応用した.まず,外部に固定した(吊るした)布に接触することで静的な姿勢制御が向上することを明らかにした.また,この姿勢制御の向上は,上位中枢により調節された成分ではなく,末梢での反射に起因する可能性を示した. 3) そして,布が外部の接触を介さない場合,すなわち,布を自ら身に纏うことによっても動的および静的姿勢制御が向上することを明らかにした.さらに,姿勢制御への効果は,静的な場合よりも動的な場合の方が大きいことを示し,動作を伴い,布がより大きく動く際に有効となる可能性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
床面に接触しているが固定されていない物への接触による姿勢制御および筋活動の影響については,論文として掲載され,外部に固定(吊るす)した布への接触による姿勢制御の効果については,現在,修正論文を再査読中である.布を身に纏った場合の姿勢制御への効果については,現在,論文を執筆中である.詳細な測定・解析方法について,当初の予定から若干変更した点はあるが,研究の実施,および成果の報告については概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
27年度に,布が外部の接触を介さない場合,すなわち,布を自ら身に纏うことによっても動的および静的姿勢制御が向上することを明らかにした.28年度は,この効果を姿勢制御から発展させ,歩行など実際の動作時にも応用できるかを検討する.ヒトの動きと布の動きを解析し,動きの変化(歩行であれば,歩容や歩行速度など)について検討する.その後,実際に着用する衣類の種類や形状とヒトの動作との関係に発展させ,日常生活での応用の可能性について検討を加える.
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