2015 Fiscal Year Research-status Report
非同期ニューラルネットワークによるノイズ無し確率共鳴
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15K21561
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
保坂 亮介 福岡大学, 理学部, 助教 (80569210)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 確率共鳴 / 非同期神経回路 / STDP学習 / Izhikevich / 雑音 / 信号処理 / ノイズ同期 / 生体信号処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
確率共鳴とは,微弱で検出が困難な信号に対し,ノイズを付加することで検出を可能にする技術である。確率共鳴は生物の捕食等に利用され,シュミットトリガなど工学的にも広く応用されている。 確率共鳴では複数の検出器を独立に駆動する必要があり,通常はこれを独立ノイズの印加で実現する。 しかし,実システムでは近接した検出器に独立ノイズを印加することは困難である。そこで本研究課題では,神経生理学で近年発見された非同期ニューラルネットワークを応用することで,ノイズを用いずに検出器を独立に駆動し,ノイズ無し確率共鳴を実現する。ノイズが不要になることにより,ナノデバイスや生体内など微小環境での使用が可能になり,さらに検出器の小型化も期待できる。
本年度はまず興奮性ニューロンと抑制性ニューロンから成る非同期ニューラルネットワークの作成を行った。興奮性ニューロンが80%,抑制性ニューロンが20%から成るニューラルネットワークを高速計算機上に実装した。ニューロン挙動をシミュレートするニューロンモデルには,計算コストと再現できる発火パターンの多様性を考え,Izhikevich ニューロンモデル を用いた。興奮性ニューロンと抑制性ニューロンには異なるパラメータを用い,それぞれの特徴である,頻度の低いゆっくりとしたスパイク活動(興奮性ニューロン),頻度が高く,スパイク間隔の短いスパイク活動(抑制性ニューロン)を再現した。計算コストのさらなる低減を狙いとして,数値計算には Izhikevichモデルを適応刻み幅制御によって離散化したものを用いた。その他のパラメータ等は非同期ニューラ ルネットワークの先行研究に従った (Renart et al, Science, 2010)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的は,ノイズ不要の確率共鳴の実現であり,本年度は「興奮性ニューロンと抑制性ニューロンから成る非同期ニューラルネットワークの作成」を行った。 これはIzhivich ニューロンモデルを用いてニューラルネットワークを高速計算器上に実装するものであった。次年度は本年度に作成したシミュレータを用いて, 「非同期ニューラルネットワークの独立性の評価」を行う予定である。研究課題遂行に必要な手順を順調にクリアしてきており,遂行全体がおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度には,「非同期ニューラルネットワークの独立性の評価」を行なう。ここでは実装されたニューラルネットワークの各ニューロンの状態変数が互いに非同期化しているこ とを評価する。評価関数には相関係数を用い,十分に長い時系列を用いて評価する。時系列間の相関にはペアの相関の他に,高次相関と呼ばれる3つ以上の時系列で現れる相関がある。ニューラルネッ トワークではこの高次相関がしばしば現れる (Shimazaki et al, PLoS Computational Biology, 2012)。 この高次相関の有無も同時に評価し,信号検出への影響を続く課題で評価する。また,各状態変数時系列の自己相関の評価を行う。自己相関係数に加えて、パワースペクトルをウェーブレット解析によって求め,自己相関の動的変化を時間-周波数空間で評価する。さらに,確率共鳴に用いられるノイズには通常は白色ノイズが用いられるが,ピンクノイズやブラウンノイズなどの有色ノイズを用いることによって,信号検出能力が向上するという報告がある (Nozaki et al, Physical Review Letters, 1999)。 そこで非同期ニューラルネットワークのニューロンの状態変数が,より何色のノイズに酷似しているかをパワースペクトルら評価する。また,各ニューロンの状態変数のリアプノフ指数を計算することで,状態変数時系列のカオス性を定量化し,短期間予測可能性と長期間予測不可能性の信号検出能への影響を評価する。
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Causes of Carryover |
80万円を高性能計算機購入費用として計上していたが,学科で購入された計算機(MacPro, 4core Xeonプロセッサ, 64GBメモリ,1TB SSD)が研究課題に必要な高速計算器として利用可能となったため,本年度の計算機購入を見送った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越された研究費は次年度以降の旅費として使用する。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] Optogenetically-induced seizure and longitudinal hippcampal network dynamics2015
Author(s)
Shin-ichiro Ohsawa, Masaki Iwasaki, Ryosuke Hosaka,Yoshiaya Matsuzaka, Hiroshi Tomita, Toru Ishizuka, Eriko Sugano, Eiichi Okumura Hiromu Yawo, Nobukazu Nakasato, Teiji Tominaga, and Hajime Mushiake
Organizer
日本神経化学会大会
Place of Presentation
埼玉
Year and Date
2015-09-11 – 2015-09-13
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