2015 Fiscal Year Research-status Report
動的培養と二層構造型足場材による人工軟骨-骨組織の創製
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15K21563
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
荒平 高章 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (30706958)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Tissue engineering / Scaffold / 力学刺激 / 幹細胞 / 骨芽細胞 / 軟骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,軟骨・骨再生には足場材と幹細胞による人工組織を移植する再生療法が臨床応用されているが,軟骨-骨などの多層にわたる再生は未だ発展途上である.軟骨と骨は機械的強度が異なり,これらを複合組織として構築するには,軟骨,骨組織の仲立ちとなる界面組織の検討が重要であるが,その点を考慮した材料設計が未だ行われていない.また,軟骨・骨は絶えず運動を支えている器官であり,生体外での組織構築においても力学刺激を与えることが重要である.そこで本申請課題では,上記問題を解決するためにI型コラーゲンを基材とし,二重凍結による界面層を考慮した多層足場材の作製方法を確立し,生体内環境に近づけるため圧縮(引張)刺激下で培養を行い,生体外で早期の多層組織構築を目的とする.本研究課題では,凍結乾燥を2回行うことで,軟骨層と骨層の二層からなる足場材の構築及び,その足場材と幹細胞からなる系に力学刺激を与えることによる組織構築を目的としている.当該年度では,足場材の構築手法について重点的に着手した.当初予定していた二重凍結による手法では,界面での結合力が十分得られなかったため,一度骨組織用足場材を凍結乾燥した後,その上部に軟骨組織用足場材を作製することで二層構造型足場材の作製に成功した.当初では,当該年度において,圧縮刺激による培養を開始している予定であったが,力学刺激との比較対象として,静置培養による実験の必要性があると考え,現在実施している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
二層構造型足場材の作製は計画通り遂行できたが,当初予定していた圧縮刺激下での培養と引張刺激下の培養に加え,静置培養を実験群として採用する必要性が生じたため,今後は,静置培養を行いつつ,2種類の力学刺激による培養を行っていきたい.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,構築した足場材と幹細胞による系に圧縮刺激と引張刺激を付与させることによって,力学刺激が構築組織に及ぼす影響を検討する.また,新たに実験群として静置培養群を設定し,力学刺激の有無についてどのような違いが生じるかについても検討を行う.さらに,人工骨-軟骨組織としての比較の他に,骨層,軟骨層それぞれに関しても,力学刺激の有無や刺激の種類によってどのような違いが生じるかについて検討を行う.
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Causes of Carryover |
今年度は,力学刺激培養の前に必要だと判断した静置培養による実験を行ったため,力学刺激培養に必要な消耗品などの購入を次年度に行うため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については,力学刺激培養の際に足場材を固定するチャンバーの費用に充てる.それ以外の次年度請求助成金については,計画通り使用する.
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