2016 Fiscal Year Research-status Report
「癌細胞 vs. 正常細胞の最前線」 細胞競合におけるタイト結合の役割の研究
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15K21564
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| Research Institution | Fukuoka Dental College |
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Principal Investigator |
北河 憲雄 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (40628517)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 細胞競合 / 細胞骨格 / 中間系フィラメント |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず、口腔粘膜由来正常細胞の細胞骨格・細胞間結合の発現を確認した。これにより、前年度の研究とあわせて、角化と非角化重層扁平上皮両方に由来する細胞の解析が可能となり、角化上皮、非角化上皮が入り混じっているヒト口腔粘膜の研究に繋げやすくなった。
また、それを踏まえて抗菌ペプチドNisinによる口腔粘膜由来正常細胞の細胞増殖死の解析系を確立した。Nisinが比較的、安定している物質なので、解析系の結果も安定しており、癌細胞、正常細胞がそれぞれ分泌する抗菌ペプチドの代用として、適していると考えられた。これにより、癌細胞、正常細胞双方の細胞が分泌する抗菌ペプチドによる影響と細胞接触による影響を口腔粘膜由来細胞でも比較考察することがより容易となった。
さらに、本年度の研究により、癌細胞 vs. 正常細胞の細胞競合現象に、先行研究でよく報告されている「細胞増殖速度」以外の「因子X」が大きく影響することが分かった。癌細胞・正常細胞の共培養系には複数の方法があるが、それぞれの方法の間で「因子X」の影響が大きく異なることが分かった。特に共培養の実験でよく用いられるトランズウェルを用いた方法では「因子X」の影響が他の手法に比べて弱く、トランズウェルの形態により「因子X」の影響がマスキングされている可能性が考えられた。
また、これらの癌細胞 vs. 正常細胞における細胞死は条件によっては細胞間の接触がなくとも誘導されることが分かった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では正常細胞が癌細胞を排除する働きに細胞間結合がどの様に関与するかについて研究を行っている。研究を進める中で、想定外の現象が２つ（1.細胞接触がない状態での細胞死の誘導、2.細胞競合の勝敗に大きく影響を与える因子Ｘ）あったが、それぞれ解析を進めた。また予定通り、口腔粘膜細胞由来の細胞の実験系も確立した。以上より研究計画は一部変更があるものの、他方では予定外の現象の解析も進んでいる。
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| Strategy for Future Research Activity |
細胞競合とその勝敗に大きく寄与する「因子X」についてさらに解析を進める予定である。
具体的には、①共培養の実験系により「因子X」の影響が異なる理由のさらなる解析、②「因子Ｘ」の違いと細胞死が誘導されていない細胞の「癌細胞・正常細胞間相互作用」の関連の解析、③スフェロイドを用いた3次元培養による「因子X」の影響による、「細胞骨格、細胞間結合の変化」、「細胞競合の勝敗の変化」、の因子Xに関する3点と「由来の異なる角化細胞間での癌細胞 vs. 正常細胞の細胞競合現象の解析（細胞競合は同種の細胞間の現象であるが、どの程度近い細胞で確認されるか分かっていない）」の計4点について解析を進める。
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| Causes of Carryover |
研究を進める中で、我々は癌・正常細胞の共培養では、非接触の状態でも各細胞の排除が行われることを明らかにした。また癌・正常細胞の勝敗には、先行研究で報告されている細胞増殖速度の差だけでなく、因子Xが大きく影響することを明らかにした。この2つの想定外の現象の解明と、この現象を踏まえた上で細胞間結合の解析を進める系の確立のために多くの時間を費やした。そのため、H28年度に予定していた、3次元培養で用いる器具・試薬はH29年度に購入することとなった。また、その他にも研究計画に複数変更が生じ、購入する試薬・器具が予定とは変わった。また、まだ研究が終了していないことから、ホームページによる研究成果の公表、国際学会での発表はH29年度に行うこととなった。以上の理由から次年度使用額が生じた。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
2つの想定外の現象のさらなる解明のための実験器具・試薬、および3次元培養で用いる器具・試薬を購入する。また、その他には、マイクロアレイ解析、論文、学会、ホームページを用いた成果の公表のための費用として使用する。
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