2015 Fiscal Year Research-status Report
フランスにおける私学助成を通じた社会統合の実現とその市民性教育プログラムの研究
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15K21578
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Research Institution | Nakamura Gakuen University Junior College |
Principal Investigator |
橋本 一雄 中村学園大学短期大学部, 幼児保育学科, 講師 (30455084)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 私学助成 / 教育の自由 / ライシテ / 移民 / 社会統合 |
Outline of Annual Research Achievements |
フランスにおいて宗教的マイノリティである宗教系私立学校を対象に、授業見学及び学校運営に関する訪問調査を実施した。前回調査時に比べ、当該の団体が設置する宗教系私立学校は約10倍に増加しており、これらの学校は、原則としてフランス政府からの私学助成を受け設置・運営されているため、公立学校に準拠した教育課程が編成されている。これらの学校の設置状況の推移及び私学助成の内容等について、平成27年度末に新たに資料を入手することができたことから、現段階ではその研究成果を業績として刊行するまでには至っていないが、2016年度に学会発表を行い、論文としてその研究成果を公表する予定である。 また、私学助成と主権者教育、公民教育との関係についての比較研究は、関係する文献の入手をおおむね終え、鍵となる「教育の自由」の概念の分析に着手している。フランスにおける私学助成の歴史的な展開及び私学助成と「教育の自由」との相関関係についての整理をおおむね終えたので、その整理を踏まえ、現在の状況を理論的に位置づける作業に取り組んでいる。 研究の成果としては、日本の主権者教育、公民教育に関する憲法学的観点からの研究成果として、2016年2月28日に、憲法・政治学研究会第573回研究会において口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度は文献収集及びその分析を通じて研究に臨む予定であったが、2015年11月にパリ同時多発テロが起こり、フランス国内における宗教系私立学校のその後の状況を調査する目的を兼ね、2016年3月に渡仏しての現地調査を実施した。その結果、当初入手していた資料では追い切れていなかった私立学校団体の活動状況を把握し、新たな資料を入手することができた。これによって、当初立てていたこの研究の仮説を論証するのに前進したところであり、全体として、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度に入手、分析した資料・情報をもとに、2016年度には国内の全国学会における口頭発表及び論文投稿を行い、研究成果を公表する予定である。また、2016年度は私学助成と主権者教育、公民教育の関係についての日仏比較研究を進めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2015年度は、国内旅費について、所属研究機関からいただいた研究費で賄うことができた。また、費用の削減にも努め、資料整理等のアルバイトを雇わず、研究者本人が行ったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額として繰り越された助成金については、研究テーマ関係の資料入手に充当して使用する予定である。
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