2015 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ材料試験とマルチスケール破壊進展解析を融合した岩石材料試験イノベーション
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15K21584
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Research Institution | Kisarazu National College of Technology |
Principal Investigator |
石井 建樹 木更津工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60400280)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 破壊 / 岩石 / き裂進展 / 微視構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は,花崗岩を対象に微視構造の異方性と封圧に着目した岩石試験機を用いた三軸圧縮試験を実施するとともに,すでに得られているSCB試験結果をシミュレートする破壊進展解析を行った. 三軸圧縮試験では,あらかじめ弾性波測定を実施して,花崗岩ブロックの異方性を確認して,微視構造の異方性によって得られる強度特性に変化が現れることを確認している. 破壊進展シミュレーションでは,2つの作業において計画通りに遂行することができた.1つは,複数の鉱物粒子からなる花崗岩に対して,鉱物粒子の物性値や粒子境界の強度特性によって,岩石内部に生じるき裂進展経路が変化し,岩石の強度特性が大きく変化することを確認した.また,その結果は実験で観察されたき裂進展経路を再現できる可能性を示唆するものであり,マイクロ材料試験結果を反映できる環境を整備することができた. 2つ目は,解析メッシュ作成において恣意的な判断が介する部分を低減するために,画像解析処理ソフトを利用して,直接,X線CT画像から解析メッシュを作成するツールの基本的な機能を構築し,その解析ツールを作成した.さらに改良を加えることで,目的とする解析メッシュ生成ツールを構築できる計画である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の3本の柱のうち,岩石の異方性と巨視的変形破壊特性の実験的調査と破壊進展解析によるメカニズムの解明については,ある程度目標とする成果が順調に得られている.今後は実験例や比較検討を多く実施することで,当初の目的を達成できる環境を計画通りに整備できている. 残る1つの柱であるマイクロ材料試験については,未だ数例の実験例にとどまっており,今後さらに注力して進めていく必要がある.これには熊本大学にある装置を利用する計画であり,綿密な相談を経て,復興状況を鑑みつつ遂行する必要がある.ただし,すでに数例の実験データを得ることができているので,状況に応じて計画の順序などを調整すれば研究遂行できると考えている. 以上の理由から,現在までの進捗は,おおむね順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,不足している実験データをさらに蓄積するとともに,新たに開発した解析メッシュ生成ツールを用いて,岩石の微視構造をより詳細に反映した数値実験を実施する予定である.その結果,実験結果と異なるなどの不具合が判明した場合には,それらを改善してさらに信頼性の高い成果を得ることで,岩石の破壊メカニズムを解明していく予定である. また,微視構造から岩石の巨視的な変形破壊特性を明らかにするために,マルチスケール解析法なども整備して,岩石の新しい材料試験方法の枠組みを構築したいと考えている.
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Causes of Carryover |
購入予定物品費用(破壊進展解析用ワークステーションおよび解析ソフトウェア)の価格変更と,年度途中から人員配置に変更が生じたことで謝金利用を変更する必要があり,当初計画の前後を入れ替えて研究環境の整備を進めた.そのため,物品や実験消耗品購入の物品費のみの使用となった.不足した旅費については別予算から捻出して対応した.次年度使用額は,研究環境整備と研究遂行に必要な物品購入における残金である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は次年度予算と合わせて,実験実施や研究成果発表に必要な旅費や投稿料,実験実施に必要な消耗品購入に当てる計画である.ただし,研究協力者の復興状況に応じて,計画を再考する可能性もある.
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