2015 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザウイルス分節化ゲノムの粒子内立体配置決定
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15K21607
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
滝沢 直己 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 研究員 (50448502)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | インフルエンザウイルス / RNAウイルス / 分節化ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
インフルエンザウイルスゲノムは8本に分節化されている。8種8本のウイルスゲノムが1つの粒子にパッケージングされる分子機構を明らかとする目的で、ウイルス粒子内で空間的に近距離に存在するゲノム分節同士の網羅的同定を行った。空間的に近距離に存在するゲノム分節を網羅的に同定するため、核内で近接しあう遺伝子群を網羅的にマッピングする方法である3C-seqアッセイを参考に精製インフルエンザウイルス粒子に対してクロスリンクを行い、RNA切断、RNAライゲーションを行う系を構築し、それぞれの処理に対して条件検討を行い反応条件の決定を行った。支援型新学術領域「ゲノム支援」の支援により、RNAライゲーションまで行ったサンプルをillumina社次世代シークエンサーにより解読を行い、分節間で結合したリードの同定、抽出を行った。この結果、RNAライゲーション特異的に分節間で結合したリードが確認された。得られた分節間結合部の特異性や妥当性の検証のため、引き続き「ゲノム支援」の支援を受け、データの解析を進めている。また、ウイルス粒子中のウイルスゲノムRNA-RNA相互作用部位の網羅的同定を行う目的で、一本鎖特異的RNA修飾試薬処理の条件検討を行い、処理条件の決定を行った。今後、次世代シークエンサーによる解読を行い網羅的にRNA修飾部位を同定することで、ウイルス粒子内におけるRNA-RNA相互作用部位の同定を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウイルス粒子内で空間的に近距離に存在するゲノム分節を検出する系の構築が完了し、支援を受けて次世代シークエンサーによる網羅的解読を行うことで、解析の基盤となるデータの取得は完了した。ウイルス粒子内におけるRNA-RNA相互作用部位の同定においてもRNA修飾試薬の処理条件等の条件決定は完了しており、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
分節間で結合したリードについての妥当性や特異性の検証のため、統計的処理が必要となる。このため、引き続き「ゲノム支援」の支援を受け、統計的処理を行っていく。また、今年度は一本鎖RNA特異的修飾試薬を用いた処理後に次世代シークエンサーによる解読を行うことにより、ウイルス粒子内でのウイルスゲノムRNA相互作用部位の同定も行う。前年度および本年度に得られるデータを統合することでウイルスゲノム立体配置を総合的に明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
研究計画がほぼ順調に推移したため、ほぼ当初計画した通りの使用額であった。当初計画との差も1%程度である。次年度使用額が生じた理由は、消耗品試薬等のキャンペーン時の購入により有効に経費を使用したためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については額も少額であることから、翌年度の助成金の物品費、特に消耗品代として使用する。具体的には細胞培養用のプラスチックディッシュの購入費に使用する予定である。
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