2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K21610
|
Research Institution | Aomori Prefectural Industrial Technology Research Center |
Principal Investigator |
角田 世治 地方独立行政法人青森県産業技術センター, 工業部門, 主任研究員 (50557808)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 光触媒 / 複合材料 / 微細構造 / 色素分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究開発では、複数種類の光触媒粒子を結合して得られる複合光触媒材料について、複合化の効果が引き出され活性が高い表面領域を特定し、この知見に基づく高性能・多機能複合光触媒材料を得ることを目的としている。 平成27年度は、形態を変化させた複合光触媒粒子の光触媒活性と構造の比較検証により、複合粒子表面上の活性部位(反応場)の解明を試みた。まず、大きさ約500 nm~5 μmの数種類の粒子形態を持つ鉄酸化物光触媒(α-FeOOH)と銅酸化物光触媒(Cu2O,CuO)を複合化することで、同じ成分であり形状が異なる複合光触媒粒子を合成した。これらの光触媒活性を、主に過酸化水素存在下における有機色素(メチルオレンジ)の可視光照射下での分解速度を調べることによって比較した。 その結果、粗大な粒子同士では、複合化の効果(活性の増大)が得られにくく、もとの光触媒材料を単体で用いた場合に比べて大きな活性向上は認められなかった。一方で、微細な粒子同士では高い効果が得られ、単体で用いる場合よりも大幅な活性向上が認められた。 さらに、同じサイズの粒子を基に複合化した場合であっても、複合化の形態、即ち接合界面の位置によっても活性は変化した。粒子同士が互いの粒子内部まで入り込んで結合した複合体に対し、表面だけで接触した構造の複合体は、基の材料単体に比べて活性の向上が大きいことが分かった。以上から、複合光触媒における高活性領域は接合界面に近い表面領域であると考えられた。また、用いた粒子の大きさから、その領域は接合界面から数百nm以上にわたっているとは考えにくく数十nm以下のごく近傍の領域と推定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、複合光触媒材料について複合化効果が得られる粒子表面上の領域を明らかにすることが目的であった。結果として、接合界面近傍の表面であることが明らかとなり、目的を達成することができた。よって、おおむね順調に推移している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、反応場面積の増大による高性能複合光触媒設計とその調製を試みる。前年度に得られた知見に基づけば、微細粒子同士の複合体、一方か粗大であっても他方が微粒子である等の条件で高い活性を示す光触媒複合体が得られることが予想できる。つまり、反応場となっている表面領域を広く取ることができる構造にすることでより高い活性を得ることが可能と考えられる。 平成29年度は、他材料(金属助触媒やCdS、WO3などの異種光触媒材料)の複合化も検証する。これらの他材料は、鉄酸化物や銅酸化物とは異なる光触媒特性が報告されている。前年度までの知見を基にこれらを複合化することによって、より高活性な有機物酸化分解活性を獲得するだけではなく、それ以外の反応にも活性を有する多機能・高性能な複合光触媒の創成を試みる。特に水からの水素生成と二酸化炭素の還元といった人工光合成に関連する機能性についても検証する。
|
Research Products
(1 results)