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2015 Fiscal Year Research-status Report

胎児期ヒ素曝露により多世代にわたり増加する肝腫瘍への細胞老化の関与

Research Project

Project/Area Number 15K21611
Research InstitutionNational Institute for Environmental Studies

Principal Investigator

岡村 和幸  国立研究開発法人国立環境研究所, 環境健康研究センター, 研究員 (50736064)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywordsヒ素 / 細胞老化 / 妊娠期曝露 / 肝腫瘍 / 多世代影響
Outline of Annual Research Achievements

妊娠期ヒ素曝露を行った74-84週齢のF1, F2肝腫瘍組織において、細胞老化マーカーp15, p16, p21の遺伝子発現量を測定したところ、どのマーカーも正常組織と比較して発現量が増加し、特にF1ではp21が, F2ではp15が対照群の腫瘍組織と比較して有意に増加していた。さらに、senescence-associated secretory phenotype因子として検討したGro-α, MMP14も、妊娠期ヒ素曝露を行ったF2の腫瘍組織で、対照群の腫瘍組織と比較して有意に発現が増加した。一方で、IL-6はほとんどのサンプルで検出限界以下であった。
細胞老化マーカーのタンパク質量をウエスタンブロット法によって検討した結果、p16のタンパク質量は正常組織と比較して腫瘍組織で増加することが明らかになった。
次に、細胞老化が肝臓を構成するどの細胞で起こっているかを明らかにするために、妊娠期ヒ素曝露を行ったF2の肝臓および対照群の肝臓の切片を用いて、p15の免疫染色を行った。その結果、腫瘍組織におけるp15の発現は肝実質細胞の膜もしくは肝星細胞で発現していることが示唆された。そこで、肝星細胞マーカーであるdesminを用いてp15が発現している場所が肝星細胞か否か検討を行ったところ、desminの発現場所とp15の発現場所は完全には一致しなかった。この部分をさらに詳細に検討するために、現在連続切片を用いてp15とdesminの免疫染色を行っている。また、p15が発現している場所は細胞膜である可能性が考えられるため、細胞膜マーカーの免疫染色に関しても現在検討中である。
一方で、細胞老化を誘導する要因がどの段階から増加するか、経時的な変化を観察するために、新たに購入した妊娠マウスのGD8-18にヒ素曝露を行い、GD18においてF1胎児から肝臓を得た。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

初年度は計画通りに、74-84週齢のF1, F2腫瘍組織または正常組織から調製したcDNAを用い、細胞老化マーカーの遺伝子発現量を検討した。また、ウエスタンブロット法によるタンパク質量の検討では、p16は検出出来たが、p21、p15に関してはさらなる検討が必要である。
一方、免疫染色に関しては、予備検討用の組織において特にp15、細胞増殖マーカーKi-67に関して腫瘍組織において対照群と比較して異なる染色像が得られ、肝星細胞マーカーdesminに関しても、肝星細胞の存在場所と考えられるディッセ腔に染色像が得られた。その他に検討したGro-α、p16、p21、細胞膜マーカーNa, K-ATPaseに関してはさらなる検討が必要である。特に細胞膜マーカーに関しては使用するマーカーを含め今後検討を行う。
さらに、細胞老化を誘導する要因がどの段階から変化するかを検討するために、新たにマウスを購入し、妊娠8-18日目にヒ素曝露を行った。その後F1 GD18の胎児から肝臓組織を摘出した。さらにGD18の胎児の手からDNA抽出を行い、Y染色体上遺伝子であるZFYをPCRで増幅し、雌雄の判定を行った。

Strategy for Future Research Activity

予備検討用のサンプルを用いて細胞膜マーカーの免疫染色を行う。その後、計画通りに多検体を用いたp15、desmin、細胞膜マーカーの免疫染色を行う。また、Ki-67との位置関係を観察することで細胞増殖がおきている場所と細胞老化がおきている場所の位置関係を検討する。また、p15以外の細胞老化マーカーの検討を行う。
計画通りにテロメアの測定およびテロメラーゼ活性の測定を行う。テロメラーゼ活性に関しては文献を精査した結果、ELISAを用いた検出が適していたため、ELISAを用いて検討を行う。また、テロメア長の制御にはテロメラーゼ活性のみならず、alternative lengthening telomere経路も寄与することが報告されているため、関連する遺伝子発現変化を測定する。一方で、マウスは細胞老化がおこるがヒトに比べてテロメア長が長く、細胞老化にテロメア以外の経路が寄与する可能性も報告されているため、DNA損傷関連の発現変化の検討を行い、多角的に細胞老化がおこる要因の検討を行う。

Causes of Carryover

年度末に購入したマウスが当初予定していた日本クレアでは高額であり、予定していた匹数の購入が出来ず、SLCからの購入に切り替えたため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

細胞膜マーカーの免疫染色を行う必要が出たため、免疫染色に使用する試薬を購入する。

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Published: 2017-01-06  

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