2016 Fiscal Year Research-status Report
NF-kB活性の振動とスイッチライク応答における制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
15K21624
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
井上 健太郎 宮崎大学, 工学部, 助教 (80708529)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | NF-kB / システム生物学 / モデリング / シミュレーション / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
転写因子NF-kBの振動とスイッチライク応答を示す数理モデル(47の連立微分方程式)を構築した。このモデルはNF-kBの動態だけでなく、上流の分子(CARMA1, TAK1, IKK)活性ダイナミクスも再現できる。このモデルを使って、分子と反応に対する摂動解析を行った。反応の変化に対する振動とスイッチライク応答に対する感受性の違いを同定し、それを実験で実証した。また、NF-kBの量的変化が振動とスイッチライク応答を切り分けることを数理モデルで予測し、これを実験で示した。振動とスイッチライク応答の性質を理論的に解析するために、感受性の高い分子に絞りこみ、分岐解析を行った。上流の活性が弱い場合でも、NF-kBの増加がNF-kB活性の振動をしやすくすることを示した。また、スイッチライク応答を引き起こすポジティブフィードバックがNF-kB活性のファーストピークを増強させることを示した。数理モデルを使って予測された振動とスイッチライク応答を示すものと示さないもの、4つのパターンの細胞を構築して、両方の性質が細胞の活性化に必要であることを示した。これらの結果は論文として報告した(Inoue, npj Systems Biology and Applications, 2016)。さらにスーパーコンピュータを利用して、実験を再現できる異なるパラメタセットの候補群を遺伝的アルゴリズムを使って計算した。現在、これらのパラメタセットから、パラメタが異なる場合でも持っているモデルとしての性質を解析している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に関して、論文(Inoue, npj Systems Biology and Applications, 2016)として報告した。引き続き、モデルのパラメタとダイナミクスの関係を解析している。
|
Strategy for Future Research Activity |
実験を再現できるモデルパラメタセットの中から、感度などが異なるパラメタセットを分析し、パラメタに依存しないNF-kBモデルから推定される現象の検討および、振動の周期、振幅の調節を実験で検証可能な反応や分子ターゲットを探索する。
|
Causes of Carryover |
平成28年度に、研究結果を国際会議で発表する予定であったが、都合がつかなかったため、未使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
このため、次年度に国際会議発表を行うこととし、未使用額はその経費に充てることとする。
|
Research Products
(5 results)