2015 Fiscal Year Research-status Report
新規βカテニンリン酸化動態可視化法を用いた生体内Wntシグナル調節機構の解析
Project/Area Number |
15K21625
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高井 啓 国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 基礎科学特別研究員 (60637205)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Wntシグナル / シグナル伝達 / ライブイメージング / 発生生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は新たな定量的かつ高感度なβカテニンリン酸化動態のリアルタイム可視化プローブの開発に取り組んだ。まず、既存のGSK3バイオセンサー(GSK3によってリン酸化・分解される人工ペプチド配列とEGFPの融合タンパク質)のEGFPを、高輝度発光タンパク質Nano-lantern(Takai et al., PNAS 2015)と置換し、新たに発光タンパク質型GSK3バイオセンサーを開発した。このプローブのWntシグナル刺激に対する応答性を3T3細胞における1細胞イメージングで検討した結果、既存のプローブと比較して同等以上の感度を示すという予備的な結果が得られた。しかしながら一過性の遺伝子発現では、Wnt刺激非依存的にプローブを高発現する細胞が数多くいるとみられ、プレートリーダーを用いた蛍光・発光測定ではこれらプローブのWnt応答性をS/Nよく定量的に検出することができなかった。この問題は安定発現株を樹立することで解決でき、プレートリーダーを用いた測定の結果、新たなプローブは既存のプローブと同等以上のWnt応答性を持つことが定量的に示された。以降、プローブの活性評価のためには安定発現株を樹立するストラテジーをとることとした。 次にβカテニンN末端ペプチド配列とリン酸化依存的核外移行ペプチドを組み合わせ、新たなGSK3リン酸化ペプチドをデザインし、Nano-lanternのN末あるいはC末と融合することで、最終的に10種類の発光型βカテニンリン酸化動態可視化プローブを作製した。これらを発現した細胞のWnt応答性を検討したところ、オリジナルのGSK3バイオセンサーよりも高いWnt応答性を持つものが複数開発できていることが判明した。今後はこれらの新たに開発した発光型βカテニンリン酸化動態可視化プローブを用い、さらなるS/Nや感度の改善を図りながら予定通り研究計画を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では予期しなかった問題もあったが、最終的にそれらの大部分は回避でき、着実に成果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
概して当初の予定通りの進捗状況であるため、次年度も計画に沿って研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
消耗品の価格改定などにより、若干の端数が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
比較的少額であるので、当初の計画から大きな変更はない。
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Research Products
(3 results)