2015 Fiscal Year Research-status Report
運動学習に伴うラット脳マクロ構造変化の生物学的基盤の解明
Project/Area Number |
15K21652
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
堀 祐樹 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 脳病態統合イメージングセンター, 流動研究員 (60635887)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オペラント学習 / Voxel based morphometry / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な技能や知識を新しく学習、獲得することは脳の重要な役割の一つであり、そのため脳には、技能や知識を獲得すべく変化する働き、すなわち「神経可塑性」が備わっている。そして、技能や知識の獲得により小動物の脳においてシナプス形成、軸索発芽、髄鞘高密度化等細胞レベルで変化を生じることが組織学的手法により明らかになってきた。一方、近年のMRイメージング技術の進歩により、人の脳において灰白質の容積・白質の繊維方向などマクロレベルで脳構造に変化が生じるということが、我々の研究も含め報告されている。 このように学習に伴う、組織学的手法による細胞レベルでの変化、およびMRIによる脳構造変化が、小動物や人の脳を対象にした研究で報告されているが、脳マクロ構造と細胞レベルでの変化を同時に評価した報告はほとんどない。そこで本年度はまずIsomuraらが開発したげっ歯類の学習パラダイムを用いて、運動学習に随伴する脳灰白質変化を調べることを目的とした。 学習群17匹において、オペラント反応正解率は、9.7%(学習1日目)、54%(学習2日目)、85%(学習3日目)と増加した。また内7匹でMRIによる学習前後の脳体積変化を調べたところ、統計的な有意差は認められなかったものの、視床、小脳の灰白質において学習後に体積が増加傾向にあった。統計的に意味のある領域を調べるため、更にMRI実験を続けていくと同時に、今後の組織学的手法による細胞レベルでの評価の対象領域を絞り細胞変化と脳構造変化の関連を調査する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主目的であるラット学習率評価および灰白質・白質体積評価を行う実験系を確立した。また学習に伴うオペラント反応正解率の経時変化および学習前後の灰白質、白質体積変化を明らかにした。来年度は、統計的に必要な匹数までMRI実験を行うとともに組織学的手法による細胞評価に取り組む予定である。以上、本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
使用実績のある既存のツールを活用することによって、研究を推進する。具体的には、SPMソフトウェアにより学習前後での灰白質、白質体積変化を統計的に明らかにする。また有意差領域を、組織学的手法による細胞レベルでの評価の対象とし、細胞変化と脳構造変化の関連を調査する。
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Research Products
(4 results)