2015 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム編集効率に寄与するマウス受精卵のDNA修復機構の解明
Project/Area Number |
15K21654
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
原 聡史 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, システム発生・再生医学研究部, 研究員 (80739582)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
CRISPR/Cas9によるゲノム編集技術は目覚ましい速度で進歩しているが、Cas9によるDNA二重鎖切断後の相同組換え(HDR)によるDNA修復を利用し、一本鎖オリゴ(ssOligo)を介して外来配列を挿入する効率は未だに高いとはいえない。本年度は、受精卵の前核期の時期との関連性があるかを解析するために実験を実施した。Sox9上流のゲノム領域にloxPを挿入することをゲノム編集による外来配列挿入のモデルとし、sgRNAおよびloxPを含むssOligoをデザインした。体外受精後3時間(PN1-2)、6時間(PN3-4)および10時間(PN4-5)経過した受精卵を用いてsgRNA/Cas9/ssOligoのマイクロインジェクションを行い、その後胚盤胞期まで培養し個々の遺伝子型を解析したところ、PN1-2の受精卵を用いた場合、その他のPNステージで解析した場合に比べて有意にloxP挿入効率が低かった。これは受精卵における細胞周期の状態を反映しており、当初の予想と一致する結果となったことから、受精卵においても培養細胞などと同様の機構によりDNA修復が行われていることが示唆された。次年度は、胚盤胞だけでなく、実際に出生したマウスに対して同様の実験を行い、胚盤胞と同様の結果が得られるかを検証する。また、ルシフェラーゼアッセイを用いてHDRによるDNA修復を検出するスクリーニング系の構築を進めている。フレームシフト変異を導入したルシフェラーゼ遺伝子を修復することでHDRを検出する実験系をデザインしたが、当初計画していたウィルスベクターを用いたコンストラクトではルシフェラーゼ活性が検出されなかった。現在、実験系の改良を行っており、次年度にスクリーニングを行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス胚を用いた実験については、当初の計画を順調に遂行することができた。ただ、ルシフェラーゼアッセイの系は当初計画していたデザインが意図通りワークしなかった。現在、コンストラクトの見直しおよび改良を行っているが、難しい場合はプラスミドベクターによるSSAアッセイとの組み合わせでの検出系に切り替えることも計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はルシフェラーゼアッセイをベースとしたスクリーニングを中心に行い、HDRを促進/抑制する因子の同定を試みる。当研究室に存在するスクリーニング系は主に転写因子の同定を目的としてセットアップされているが、DNA修復が転写因子によって促進/抑制されるのか否かは明らかではない。そこで転写因子以外にも着目し、より幅広い因子に対してスクリーニングを行うことを計画している。
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Causes of Carryover |
本年度予定していたルシフェラーゼアッセイによるスクリーニング系の構築がうまくいっておらず、次年度も引き続き行うために繰り越す。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
PCR関連酵素試薬、細胞培養用の培地、遺伝子導入キット、ルシフェラーゼアッセイ試薬などの購入に充てる。
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