2015 Fiscal Year Research-status Report
初代培養合胞体栄養膜細胞の母児免疫寛容・生体防御機構と妊娠合併症発症機序の解明
Project/Area Number |
15K21655
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
本村 健一郎 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, その他部局等, 研究員 (00724329)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Syncytiotrophoblast / toll like receptor / 妊娠合併症 / 胎盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は初代合胞体栄養膜細胞安定培養系を用いて、合胞体栄養膜細胞(STB)における母児免疫寛容・生体防御機構を解析しそのメカニズムを解明する。未刺激STB培養系のmicroarray解析により、生体防御分子・免疫寛容分子の発現を確認した。複数の因子を特定できたが、そのうち特に自然免疫系受容体であるtoll like receptor (TLR)に着目し、STBにはTLR3が特異的に発現していることを見いだした。STBをTLR3のligandであるpolyICで刺激をし、microarray解析をおこなったところ、生体防御に関与する分子の発現が増強すると同時に、免疫寛容を誘導する分子の発現も増強した。この結果は、ウイルスや内因性TLR3 ligandにSTBが曝されると、生体防御分子と同時に免疫寛容誘導分子が同時に産生されることを示唆している。 また、PolyICの刺激によりSTBに細胞死が誘導された。阻害薬による検討により、この細胞死がApoptosisであった。またCaspase 8、Caspase 9どちらを阻害しても抑制されることから、このapoptosisは外因系・内因系両方の関与があることが示唆された。 この免疫寛容、生体防御分子の発現変化やApoptosisが母体に与える影響を確認するため、マウスを用いたin vivoの検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
microarrayのデータを元に、免疫寛容・生体防御双方に関わる因子を同定できている。また、細胞死の解析、液性因子の同定に関しても順次進められている。exosome、microvesicleの解析に関してはまだ着手できていないが、研究部で系は確立しているため、順次開始する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に得た結果を元に、平成28年度はSTBのTLR3に対する反応にfocusして解析を続ける。疾患胎盤の収集に時間がかかることが予想されるため、臨床部門と連携して収集・解析にあたる。解析に際しては、正常胎盤(これまでの解析)をもとに、microarryを用いて効率的に研究が進められるようにする。 また、in vitroでの変化が母体に影響するかを確認するため、マウスを用いたin vivoの研究も並行して行っていくことにより、ここまでin vitroで得た結果をより臨床に結びつけられるようにしていく。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく段階で、TLR3 KOマウスを用いたin vivoの検討が必要となったため、TLR3 KOマウスの繁殖を行った。in vivoの検討は繁殖が終了し、系が確立してから本格的に実施することとしたため、その分の研究費を繰り越した。 また、疾患胎盤を収集後microarry解析を実施する予定としたため、その分の研究費を繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
疾患胎盤のmicroarray解析や、exoxome・micro vesicleのmiRNAのmicroarray解析により多くの研究費を使用し、効率的に研究を進められるようにする。 KOマウスと合わせたvivoの解析を進めるため、マウスの購入費や試料・飼育といったマウスの維持費に繰り越した研究費を使用する。
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