2017 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of New Methodology for Provenance Study of Central Anatolian Iron/Steel Objects Using Synchrotron Radiation Methods
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15K21657
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Research Institution | Independent Administrative Institution National Institutes for Cultural Heritage Tokyo National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
増渕 麻里耶 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, アソシエイトフェロー (50569209)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 製作地推定 / 放射光蛍光X線マッピング / 微量重元素 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度も、昨年度に引き続き大型放射光施設SPring-8での測定、トルコ共和国現地での発掘資料調査を中心に研究を進めた。 ①SPring-8での鉄製品の分析:2017(平成29)年5月23日~27日、大型放射光施設SPring-8のビームラインBL20XUおよびBL08Wにて鉄製品の放射光測定を実施した。特にBL08Wでの放射光高エネルギー蛍光X線分析では、昨年度に引き続き、多くの資料からバリウムやランタンなどの重元素が検出された。次に、これらの重元素の資料内部での分布を把握するため、11月19日~21日、同ビームラインにて放射光高エネルギー蛍光X線マッピング測定を実施したところ、バリウムとランタンは製品内部での分布挙動が必ずしも一致しないことが判明した。前年度までに実施した放射光マイクロCT測定による試料内部の再構成像と照らし合わせたところ、特にバリウムは腐食生成物付近で比較的高濃度で検出されることがわかった。 ②考古資料の調査:2017(平成29)年5月8日~16日の日程で、トルコ共和国に所在するアナトリア考古学研究所にて資料調査を実施した。本年度は特に、本研究の分析対象資料が出土したカマン・カレホユック遺跡にてこれまでに検出された各時代の製鉄関連遺構(炉址・工房址)に着目し、過去の発掘記録の調査を行った。本調査で得られた知見は、今後上述の重元素組成と工房址との関係性を明らかにしていくうえで重要な比較資料選定のために大変重要である。
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