2015 Fiscal Year Research-status Report
領域特異的エピゲノム編集技術を用いた精神疾患創薬スクリーニング系の基盤構築
Project/Area Number |
15K21661
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
平野 和己 国立研究開発法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 研究員 (40707709)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エピゲノム編集 / DNMT / LSD1 / 神経幹細胞 / 精神疾患 / エピジェネティクス / メチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、神経細胞(ニューロン)における特定領域のDNAメチル化やヒストン翻訳後修飾などのエピゲノムの異常と精神疾患との関連が報告されているが、直接的な証明は行われていない。本研究では、ジンクフィンガータンパク質(ZF)を用いた独自のエピゲノム編集技術を確立し、それを用いてエピゲノム異常を惹起させ、精神疾患発症の分子機構を解析すること、さらにヒト神経幹細胞におけるエピジェネティクス修飾の生理的機能を解明することを目的としている。 平成27年度は、神経幹細胞で高発現しているSOX2遺伝子のプロモーター領域を標的としたZFを設計し、そのZFとDNAメチル化酵素(DNMT)の活性部位を繋ぐリンカーの長さを長短2種類作成した(SOX2-ZF-DNMT)。これらのSOX2-ZF-DNMTの標的配列へのメチル化活性をバイサルファイト法により評価したところ、標的領域でのメチル化の亢進を確認することができた。さらに、SOX2-ZF-DNMTをトランスフェクションしたヒト神経幹細胞におけるSOX2の発現低下を確認することができた。この時、リンカーの長さの違いにより活性が異なることが明らかになった。また、DNMTとの相互作用や、エピゲノム編集の材料としても期待されているヒストン翻訳後修飾関連因子LSD1に着目した解析も行い、LSD1がヒト神経幹細胞のニューロン分化に必須であることも合わせて明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、研究実施計画の予定通り、SOX2を標的としたZF-DNMTの作成とそのDNAメチル化活性評価を行った。また、SOX2-ZF-DNMT導入細胞におけるSOX2の発現低下を確認し、メチル化活性の高効率化に必要なリンカーの長さも明らかにした。以上のように、次の解析に進める十分な成果が得られため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、精製SOX2-ZF-DNMTを用いたヒト神経幹細胞へ直接導入法の確立と、導入細胞内における標的ゲノム領域のメチル化亢進の確認、ニューロン分化への影響の評価を中心に研究を展開する。また、精神疾患様行動・病態との関連を明らかにするために、脳特異的にエピゲノム編集を施したマウスの作成に着手する予定である。
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Causes of Carryover |
差額275円は、消耗品の支払いに端数が出たために生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品費に合わせて使用する。
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Research Products
(3 results)