2015 Fiscal Year Research-status Report
メソ気象モデルによる海上風推定の高度化を目的とした 内部境界層解像スキームの開発
Project/Area Number |
15K21665
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
嶋田 進 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 再生可能エネルギー研究センター, 研究員 (90712208)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 野外観測 / LiDAR / 内部境界層 / LES / メソ気象モデルWRF |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,低コストで高精度な洋上風力資源量調査手法を開発するため,詳細な風況観測と厳密な数値計算に基づきメソ気象モデルによる海上風計算の高度化を図るものである.海岸線付近で発達する内部境界層の構造をリモートセンシング装置を用いて観測し,その微細構造を気象モデルで再現出来るようにモデルを改善する.平成27年度は野外観測を重点的に実施した.茨城県神栖市の観測桟橋において光波による風向・風速計測装置であるLiDAR (Light Detection and Ranging) を用いた野外観測を実施した.橋長400mの桟橋先端にLiDARを設置し,高度40~200mにおける海上風の鉛直プロファイルを連続観測している.年度後半より,桟橋入口に追加のLiDARを導入し,陸上および洋上での同時計測を実施中である. 初期の観測及び解析結果より,高度200m付近では400m離れた場所に設置されたふたつのLiDAR間でほとんど計測値に違いは見られないものの,風車ハブ高度に相当する80m高付近ではLiDAR間の風速比率が風向毎に異なっていることが確認されている.これは本研究で重要項目として位置付けている陸上風の海上風への遷移プロセスの観測が計画通り順調に行われていることを示唆するものである.また,桟橋先端では600m以上離れた海岸線上の大型風車からのウェイクの影響も観測されており,陸上の場合にはウェイクの影響が十分小さくなる距離であっても,海上の場合ではその影響が想定以上に持続する可能性があることを示す貴重な結果も同時に得られている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初計画の通り野外観測を重点的に実施した.観測装置の設置や現場観測も予定通り実施できている.
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Strategy for Future Research Activity |
現在実施中のLiDAR風況観測を継続し,数値計算のベースとなる観測データを蓄積する.さらには,研究計画の通り,野外観測で得られた結果を厳密なLES(Large Eddy Simulation)モデルで再現するための準備に着手する.
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Causes of Carryover |
当初レンタルを計画していた野外観測で使用する計測装置が産総研内の保有装置を無償で利用できることになり,そのレンタル料が不要となったため次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
数値計算で必要になるスパコン利用料又は成果発表のための英文校正費や論文投稿料に使用する予定である.
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