2017 Fiscal Year Research-status Report
脳波と末梢神経系指標による感情状態の解読―コミュニケーションにおける感情伝染―
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15K21668
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
藤村 友美 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (90623992)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 感情 / コミュニケーション / 表情 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,コミュニケーション時に生じる感情伝染に着目し,脳波や末梢神経系指標を用いて,感情状態解読モデルを作成することを目的としている。感情伝染を実験的に引き起こすため,日本人の顔表情刺激を作成した。本年度は,収集した表情に対する心理評定値をもとに誌上発表を行うことができた(Fujimura & Umemura, 2018, Cognition and Emotion)。また,顔表情刺激は,AIST顔表情データベースとして,学術利用に限り無償で公開することができた(https://www.dh.aist.go.jp/database/face2017/)。感情研究のみならず,顔画像の情報処理や認知神経科学における情動刺激として幅広く活用されることが期待される。本顔表情データベースを通じて,感情の学際研究の推進に貢献することができた。 さらに実証実験として,実際に面識のある相手の表情に対する感情反応を調べるため,インタラクションを行った相手(既知人物)と顔表情データベースから選出したモデル(未知人物)の表情に対する表情筋活動を計測する実験を行った。実験の結果,実際にインタラクションをした相手の表情に対しては大きく表情同調が生じる傾向がみられた。本成果は,実験室ベースにおいても,実際に面識がある相手にたいしては,感情伝染が生じやすいことを示唆すると考えられる。本年度の取り組みにより,コミュニケーションにおける感情状態解読モデルを作成するための基盤となるデータを取得することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
顔表情データベースを構築し,誌上発表を行うことができた。またデータベースを用いた実証実験を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
取得した表情筋活動データをもちいて,表情観察者の共感性や感情状態との関係を探り,感情伝染のモデルを構築するためのデータ解析を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は,申請者が所内で所属異動したため,予定していた国際学会・国内学会の発表等にかかわる旅費・役務費用が発生しなかった。次年度使用額とあわせて,データ解析をおこなうためのソフトおよび人件費に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)