2015 Fiscal Year Research-status Report
過渡成長に基づく非平衡乱流場の準秩序構造の解明と予測制御
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15K21677
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
焼野 藍子 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究員 (30634331)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 非平衡乱流 / 過渡成長 / 流体制御 / 壁乱流 |
Outline of Annual Research Achievements |
流体の層流から乱流への状態遷移によって,運動量,熱,物質輸送が著しく異なるため,操作により,従来の熱流体機器の性能を飛躍的に向上することが期待される.そのため,遷移の引き金となる,流体場の不安定性に起因する秩序構造の予測と制御については,従来多くの報告がなされてきている.例えば,車両や航空機の翼などの後流で生じる二次的なリブ構造を促進し,運動量輸送を増加させることを目的としたボルテックスジェネレータによる制御デバイスなどが,実用化されている.一方,現在の実用的な数値計算は,例えば翼まわりなど熱流体機器の曲壁面での流体剥離と再付着位置の予測精度に課題が残る.これは,平衡な乱流状態を仮定した古典的な乱流仮説に基づいていることに起因する点が大きい.実際に設計で対象とする流れ場の殆どは,乱流エネルギーの生成と散逸が釣り合わない非平衡な状態であるにもかかわらず,そのような非平衡乱流場についての知見は未だ少ない. 本研究では,上下壁面がスパン方向に振動する平行平板間流れと,曲率を有する壁面が空間的な非平衡性を生じさせている二次元ハンプ周りの流れにおいての,流体の秩序運動の詳細を明らかにし,それらを制御するための方法論の構築を試みる.当該年度では,スパン方向に振動する平行平板間流れの乱流統計量について,振動パラメータに依存する特定の変数との相似関係を見出した.一方,二次元ハンプ周り高レイノルズ数流れのデータベースを構築し,平行平板間流れにおいて得られた知見も活かして,対象とする秩序構造の発生機構を議論した.これにより,このような条件の流れ場での乱流遷移の予測精度と制御可能性を向上させる可能性を見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では,スパン方向に振動する平行平板間流れについて,当初予定していたように高レイノルズ数の計算は行わず,まずは従来得られている計算の結果に基づく解析を行った.それにより,振動パラメータとの関係則の構築に十分な結果が得られた.一方,二次元ハンプ周り流れにおいては,最も時間がかかると思われるデータベースの構築ができた.
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Strategy for Future Research Activity |
スパン方向に振動する平行平板間流れについて,より高いレイノルズ数の高解像度での計算を行い,本研究で得られている相似則の一般性について検証を行う.さらに,すでに得られているデータベースと同様の条件で直接安定性解析を実施し,データベースにより得られている乱流統計量と,流体不安定性の理論予測に基づく乱れの成長率との比較を行う.その時,理論予測には流れ場の非平衡性の影響を考慮することとする.一方,二次元ハンプ周りの流れ場に対しても,同様の解析を試みる.
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Causes of Carryover |
物品については,当該研究者が職務として行う別の研究で使用するワークステーションを,当該研究でも使用できる見込みになったので,当該年度でのワークステーションの購入を行わなかった.出張旅費に関しては,当該研究の成果が,職務として行っていた別の研究成果にも準ずるため,そちらの予算を充てた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年4月より,別の研究機関に移動することとなった.当該研究で必要な物品購入と出張旅費についての支出を行う予定である.
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