2015 Fiscal Year Research-status Report
原料改質と触媒水蒸気賦活による電気二重層キャパシタ用コーヒー滓活性炭の高性能化
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15K21689
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Research Institution | Industrial Research Institute of Shizuoka Prefecture |
Principal Investigator |
菊池 圭祐 静岡県工業技術研究所, 工芸科, 主任研究員 (90517369)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コーヒーかす / 水蒸気賦活 / 収率向上 / 微生物発酵 / 活性炭 / 電気二重層キャパシタ |
Outline of Annual Research Achievements |
コーヒーかすを用いた活性炭製造では、高比表面積を達成するために賦活を進めていくと、1,300~1,400m2/g程度で頭打ちとなり、それ以上賦活すると灰化してしまう。より高比表面積のコーヒーかす活性炭を開発するには、炭化時の収率を向上させることで賦活深度を高める必要がある。 高含水率(60~70wt%)で排出されるコーヒーかすの乾燥に、微生物の発酵熱を利用すると、含水率の低減と同時に原料の改質が生じることが分かった。微生物の発酵熱を用いることで乾燥コストの削減も可能である。発酵乾燥により得られたコーヒーかす(堆肥化コーヒーかすと呼ぶ)の熱重量分析を測定すると、通常のコーヒーかすより炭化後の収率が高いことが分かった。また、コーヒーかすの発酵度に応じて収率は増加していくことも明らかとなった。この収率が向上したコーヒーかす炭化物を用いれば、通常の処理以上に賦活を進めることが可能になり、より高い比表面積を実現できると考えられる。高い比表面積を達成することで、電気二重層キャパシタの電極材料として用いると、より多くの電荷が蓄えられることにつながる。 今後は、堆肥化コーヒーかすの炭化・賦活条件の最適化を行い、得られる活性炭の細孔構造・比表面積を評価する。その後、電気二重層キャパシタとしての性能評価を行っていく。蓄電量の向上とともに、触媒を用いた水蒸気賦活を検討することで、黒鉛化の促進による抵抗値の低減および水蒸気賦活の製造コスト削減を図る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、原料改質したコーヒーかすを用いて高比表面積活性炭を作製し、電気二重層キャパシタの性能評価まで終える予定だったが、電極作製用の堆肥化コーヒーかすの入手ルートで不純物が混じっていることが実験途中で判明した。それまで行った実験をやり直すこととなり、研究進展状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
堆肥化コーヒーかすの炭化・賦活条件の最適化を行う。具体的には、炭化温度、賦活温度、賦活時間のパラメータを振って条件出しを行う。得られる活性炭の細孔構造・比表面積を評価する。蓄電性能の向上が期待できる細孔構造や比表面積を有する活性炭を大量に作製し、電気二重層キャパシタとしての性能評価を行っていく。蓄電量の向上とともに、触媒を用いた水蒸気賦活を検討することで、黒鉛化の促進による抵抗値の低減および水蒸気賦活の製造コスト削減を図る。具体的には、鉄、コバルト、ニッケルの硝酸塩を原料に含侵し、賦活温度を変えて活性炭を作製する。X線回折で結晶構造を評価し、また賦活反応が触媒されているかを温度と収率・比表面積の関係から明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究の途中で、電気二重層キャパシタ作製用に入手した堆肥化コーヒーかす中に不純物が混入していることが分かった。炭化・賦活条件の検討を進めていたが、最初から条件出しを再検討することとなった。今年度購入予定だったグローブボックス用ガス循環精製機は、キャパシタ作製まで実験が進まなかったため、次年度購入予定とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、グローブボックス用ガス循環精製機を購入する。また、炭化・賦活条件を変えた時に得られる活性炭の評価を効率よく行うため、窒素吸着測定用前処理装置の購入も検討する。
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