2015 Fiscal Year Research-status Report
土壌診断法の開発に基づく複合化学汚染の実態解明と発生源解析への応用
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15K21702
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| Research Institution | Fukuoka Institute of Health and Environmental Sciences |
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Principal Investigator |
宮脇 崇 福岡県保健環境研究所, その他部局等, 研究員 (70346691)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | スクリーニング / 緊急時環境調査 / 土壌汚染 / 網羅分析 / 複合化学汚染 / 発生源解析 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
新たに製造される化学物質の種類と数は年々急増しており、１年あたり約1000万物質のペースで増え続けている。このことから、近い将来において化学物質による汚染が多様化・複雑化していくことが予想される。また、国内では大型地震が頻発しており、人命や物的被害だけでなく、有害化学物質の流出や災害廃棄物の発生等の化学汚染も懸念されている。ところが、化学汚染に係る現行の公定法には事故や災害を想定した調査マニュアルがないため、現状では汚染状況の把握や発生源調査を早期に行うことが困難である。
そこで本研究は、土壌や底質試料を対象に、有害化学物質を迅速・簡易・網羅的に検知する分析法（土壌診断法）の開発に取り組んだ。土壌診断法とは、土壌等の固体試料中の有機汚染物質と重金属類を同時にスクリーニングする手法であり、これまでに報告例がほとんどない分析技術である。これらの化学物質を同時に分析する上で最も重要になるのが、抽出方法である。
平成27年度の研究では、マイクロウェーブ抽出装置を用いる2つの抽出方法（一斉抽出法・多段階抽出法）を考案して、これらの比較試験を行った。その結果、重金属類では大きな差異はなかったが、有機汚染物質については段階的に抽出した方が高い定量値が得られることがわかった。そこで、多段階抽出法を対象に重金属類について抽出条件（溶媒・温度・時間）の最適化を行った結果、抽出溶媒は1 N塩酸、抽出温度は100℃、抽出時間は10～30分間であることがわかった。この条件をもとに、土壌認証標準物質（JSAC 0402）を用いて試験を行った結果、環境省告示第19号による分析値よりも高い値を得ることができた。以上のことから、有機汚染物質と重金属類を同時にスクリーニングするための基礎検討を概ね完了することができた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、2つの目的がある。1つ目は、土壌や底質試料を対象に有害化学物質を迅速・簡易・網羅的に検知する分析法の開発である。2つ目は、得られた有害化学物質のデータをもとに複合化学汚染を明らかにし、それらの発生源解析を行うことである。
平成27年度では、有機汚染物質および重金属類の同時スクリーニングの基礎検討を行い、それらの最適条件を求めることができた。本法の前処理時間は、1バッチ（10検体同時処理）あたり、約4時間であり、従来数日かかっていた分析時間を大幅に短縮化することに成功した。研究1年目として、第1の研究目的を達成できたと思われる。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、第2の研究目的である「有害化学物質のデータをもとに複合化学汚染の解明および発生源解析への応用」を中心に取り組む。具体的には、開発分析法をもとに、濃度既知の汚染土壌や底質および認証標準物質を用いて妥当性試験を行い、本法の分析精度（正確度・再現性）や適用範囲を明らかにする。
さらに、得られたデータをもとに複合化学汚染の実態解明および発生源解析を行い、化学汚染の解析ツールとしての適用性について検証する。加えて、起源推定に有用なトレーサー物質の検索も行う。
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| Causes of Carryover |
実験補助として人件費を計上していたが、人材確保ができなかったため、計画とおり予算執行ができなかった。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度から、実験補助用の人材を確保できたため、計画とおりに予算執行できると予想される。
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Research Products
(3 results)
