2016 Fiscal Year Research-status Report
イチジクコバチにおける寄主植物への適応の遺伝的基盤の解明
Project/Area Number |
15K21705
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Research Institution | Research Institute of Environment, Agriculture and Fisheries, Osaka Prefecture |
Principal Investigator |
和智 仲是 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食の安全研究部及び水, その他部局等, 研究員(任期付) (40635299)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 昆虫 / イチジクコバチ科 / イチジク属 / 生物間相互作用 / 共種分化 / 遺伝的多様性 / ゲノム / 分子生態学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、イチジクコバチの種群を材料に、次世代シークエンサーを用いた解析により検出した点突然変異をマーカーにゲノム規模の相関解析を行う。そして寄主植物の異なる種間・集団間の比較により、種ごとに特定の寄主植物の利用を可能にするゲノム領域を明らかにする。新たに解読するイヌビワコバチのゲノムや他種のゲノムを参照配列として、寄主であるイチジク属植物への適応に関わる遺伝子群の探索を行う。一連の解析結果により、イチジクコバチにおける寄主利用の遺伝的基盤を明らかにすることを目指す。 本年度はイヌビワコバチBlastophaga nipponica(日本集団32個体・台湾集団33個体)とその近縁種B. taiwanensis(台湾集団30個体)を材料に、ゲノム規模の情報を用いた比較により寄主適応の遺伝的基盤を明らかにしようとした。他の近縁種B. tannoensis・B. yeniを合わせたddRAD-seq法による解析でこれまで得られた99,424遺伝子座のうち、欠測値50%未満のもの・2対立遺伝子のものを選抜した結果、3,323遺伝子座が得られた。これらの遺伝子座の配列情報を用いて種間・集団間での遺伝的分化の程度を調べた。その結果、中立な条件のもとで期待される遺伝的分化とは異なり、種間で特に大きな遺伝的分化を示す領域が複数見出された。昨年度に引き続き、見出されたマーカーの周辺配列の決定・ゲノム上での位置の特定のためにイヌビワコバチのゲノム配列情報の取得を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度の途中(10月)に所属機関(生命誌研究館・奨励研究員から大阪府立環境農林水産総合研究所・任期付研究員)の変更があり、当初の計画通りにエフォートを割くことが難しくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
種間比較により見出されたマーカー周辺の塩基配列の決定とゲノム上での位置の特定のために、これまでに取得した配列情報をもとにイヌビワコバチのドラフトゲノム配列の構築を試みる。所属機関に当該研究の実施環境がほとんど整備されておらず、その整備に時間を要するため、必要があれば共同研究や外注により解析を行うことを検討する。
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Causes of Carryover |
年度の途中(10月)に所属機関(生命誌研究館・奨励研究員から大阪府立環境農林水産総合研究所・任期付研究員)の変更があり、当初の予定通りの予算執行が出来なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)