2016 Fiscal Year Research-status Report
集団的意思決定における戦略的行動、限定合理性と主観的妥当性
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15K21763
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
河村 耕平 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30787817)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 集団的意思決定 / 投票モデル / 投票実験 / 社会学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画の平成28年度分について、3つのプロジェクトをほぼ計画通りに同時進行することができた。 まず、投票行動の理論・実験プロジェクトについては共同研究者Vlaseros(National Bank of Greece及びアテネ大学研究員)との共著論文が年度中にJournal of Public Economicsに採択・出版された。Vlaserosとの別論文として構想された投票モデルにおける非対均衡については、効率性の証明に当初の予想を上回る困難があったが、有効なアプローチを発見し、論文を執筆した。 Hopkins(エディンバラ大学教授)とKornienko(同准教授)と行う投票の実験・行動経済学的分析は、2回の渡英中の討議により、統計的推論の難しさだけでなく、集団行動に関する選好との関連も重要な研究課題であるとの認識に至った。そこで当初の計画を若干変更し、社会学習の要素をより明示的に取り入れることになった。合わせてDuffy(カリフォルニア大学アーバイン校教授)を新たに共同研究者に迎えることが決まり、プロジェクト全体の質が向上することが期待される。平成29年3月には同年中の実験実施に向けてエディンバラ大学で小規模な予備実験を行った。 集団意思決定の主観的妥当性に関するプロジェクトについては、Veszteg(早稲田大学准教授)と集団的意思決定の妥当性の評価について継続的に議論を重ねており、いくつかの有力なアプローチを実験デザインに取り込む検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
英国から9月に着任して以降、研究・教育環境の整備に多くの時間を費やさざるを得なかったが、計画を現実的に設定したため、ほぼ計画通りに進行している。投票の実験・行動経済学的分析については若干の方針変更があったが、有力な研究者を共同研究者に迎えるなど、当初の計画より研究の質を高めるものであると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
投票理論のプロジェクトについては現草稿を改訂・公開した後、学会・学術誌への投稿を行う。合わせて、その過程で新たな研究課題が見つかった場合には、別の論文のための研究を行う。 投票の実験・行動経済学的分析については、平成29年秋にエディンバラ大学にて実験を実施し、データの収集・分析を行う。合わせて、年度中に論文を執筆する。 集団意思決定の主観的妥当性に関するプロジェクトについては、パイロット実験を行いながら実験デザインを確定し、本実験を行う。
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Causes of Carryover |
パイロット実験を行う費用を予備的に計上していたが、平成28年3月に行った予備実験は金銭支払を伴わなかったため、余剰が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は本研究課題の予算全体としては多額ではないため、平成29年度に計画通り研究を進行させるために用いる。
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Research Products
(5 results)