2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K21769
|
Research Institution | Foundation for Biomedical Research and Innovation at Kobe |
Principal Investigator |
川辺 浩志 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構, その他の部局, 上席研究員
|
Project Period (FY) |
2017 – 2019
|
Keywords | スパイン / ユビキチン化 / 超高解像度顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経細胞間で情報はシナプスを介して軸索から樹状突起へと伝わる。シナプスの樹状突起側は棘のような構造を取り、スパインと呼ばれている。スパインの大きさは記憶や学習の過程で変化することが報告されており、その制御機構の解析は精神疾患の病態を理解する上でも重要と考えられている。本研究ではタンパク質のユビキチン化を担うE3リガーゼ遺伝子Nedd4-2, WWP1, WWP2, そしてUbe3Bがどのようにスパイン形態を制御するかを明らかにする。平成30年度はWwp1とWwp2に関して、Wwp1/Wwp2ダブル欠損マウスを使ってこれらのE3リガーゼの基質をスクリーニングした。その結果、アクチン結合タンパク質が同定され、軸索と樹状突起の発達に関連している可能性が強く考えられた。正常な神経細胞の発達過程で、一つの神経細胞から一本の軸索が伸びるが、Wwp1/Wwp2ダブル欠損マウスでは一つの神経細胞から複数の軸索が伸びることが明らかになった。この結果は昨年末にNeuronに発表した(Ambrozkiewiczら, 2019)。また、Wwp1/Wwp2ダブル欠損マウスのスパイン形態を超解像度STED顕微鏡で観察した結果、スパインの数が増加し、ヘッドが拡大していることが明らかになった。生化学的実験によって、昨年度に同定されたUbe3Bの基質候補タンパク質がUbe3Bのリコンビナントタンパク質によってユビキチン化されることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、E3リガーゼ欠損マウスの解析が進んでいる。昨年度同定したUbe3Bの基質候補タンパク質に関しての生化学的解析もほぼ終了した。STED顕微鏡も稼働しており、今後のスパイン形態の解析も問題なく進むと考えられる。STED顕微鏡を使って、既に同定されているWwp1とWwp2, Nedd4-2そしてUbe3Bの基質のうちの一部がスパインの形態形成に重要であるというデータが出つつある。これらの結果からそれぞれのE3リガーゼを介したユビキチン化がスパインの形態を制御することで記憶や学習の際に重要な役割を果たす可能性が考えられた。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、E3リガーゼ遺伝子と今回同定された基質との機能的関連を研究する。具体的にはE3リガーゼ欠損マウスの神経細胞に基質をノックダウンするためのshRNAを発現させることで、欠損マウスの表現型が回復するか検討する。さらにE3リガーゼ欠損マウスの電気生理学的解析によってスパイン形態の変化が機能的にどのように重要かを検討する。 さらに約600種類あるE3リガーゼと約100種類のDUBをコードする遺伝子について、個々の遺伝子をノックアウトするためのgRNAまたはノックダウンするためのshRNAを発現するプラスミドを作成する。これらのプラスミドを神経細胞にトレンスフェクトしてスパインの形態変化が起きるかを検討する。
|
Causes of Carryover |
STED顕微鏡を使ってライブイメージングを始めるために顕微鏡のステージを安定させるための新しい機器を購入する必要があるため。来年度はスパインの形態をライブイメージングで観察する計画である。
|
-
-
-
-
[Journal Article] Polarity Acquisition in Cortical Neurons Is Driven by Synergistic Action of Sox9-Regulated Wwp1 and Wwp2 E3 Ubiquitin Ligases and Intronic miR-140.2018
Author(s)
Ambrozkiewicz, M. C., Schwark, M., Kishimoto-Suga, M., Borisova, E., Hori, K., Salazar-Lázaro, A., Rusanova, A., Altas, B., Piepkorn, L., Bessa, P., Schaub, T., Zhang, X., Rabe, T., Ripamonti, S., Rosário, M., Akiyama, H., Jahn, O., Kobayashi, T., Hoshino, M., Tarabykin, V., and Kawabe, H.
-
Journal Title
Neuron
Volume: 100
Pages: 1097-1115
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research