2020 Fiscal Year Research-status Report
人工バクテリオファージの創出 ~薬剤耐性細菌感染症治療とヒト細菌叢編集への応用~
Project/Area Number |
15K21770
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
安藤 弘樹 岐阜大学, 医学系研究科, 特任准教授
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Project Period (FY) |
2017 – 2021
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Keywords | ファージセラピー / 合成生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、①生物学的封じ込め可能なファージ(BSP, Bio-contained Synthetic Phage)を用いたファージセラピー、②ファージ改変プラットフォームのブラッシュアップ、に注力した。 ①について。マウスを用いた感染実験を行った。BSPが感染できる病原細菌をマウスに感染させ、何も治療をしないと数日内に死に至る実験系を構築した。感染マウスにBSPを投与することで生存率が劇的に上昇した。これは生物学的封じ込めを施していないファージ(BSPの親ファージ=増殖能を有している野生型ファージ)で治療した結果と遜色ないものであった。また、治療した動物から内臓と血液を採取し、投与したBSPが増殖能を獲得していないことを確認した。今後、薬剤耐性細菌を用いたファージセラピーや、抗菌薬との併用効果についても調べるべくデータ収集を続けている。 ②について。2019年度までに開発したファージ改変プラットフォームをブラッシュアップした。具体的には、デザインルールの設定、DNA断片の連結効率を上げるための条件検討や新しい酵素の利用、連結したファージゲノムを宿主細菌へ導入する際の条件検討、無細胞系の利用などである。より効率的で汎用性の高いプラットフォームになった。一方、無細胞系を利用したファージ改変については一部のモデルファージに限られるのが現状である。汎用性のある無細胞系の開発が課題であるが、これについては本研究でどこまで扱うのか慎重に見極めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通りに進めることができ、期待していた結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに作製した人工ファージとBSPを使用して、薬剤耐性細菌を用いたファージセラピーの実施、抗菌薬との併用効果の観察、細菌叢編集を試みる予定である
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Causes of Carryover |
初年度(2017年度)に研究室の引っ越しとセットアップに数ヶ月間を要し、研究開始が遅れてしまった。これに伴い研究員の雇用も計画通りに進まなかった。遅れが生じた分の研究に必要となる研究費と人件費を毎年繰り越してきた。2020年度が本研究最終年度になる予定であったが、新型コロナウイルス感染症の拡大による大学閉鎖もあり、研究計画の変更を余儀なくされた。補助事業期間の再延長を申請し、承認された。2021年度は主に物品費として使用する予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] アトピー性皮膚炎由来黄色ブドウ球菌に対する表皮ブドウ球菌併用ファージセラピーの検証2020
Author(s)
島守祐月, 鈴木徹, 満仲翔一, 相沢慎一, 山下弘高, Ajeng Pramono, 久堀智子, 永井宏樹, 北尾公英, 武田茂樹, 安藤弘樹
Organizer
第65回日本ブドウ球菌研究会
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