2017 Fiscal Year Research-status Report
人間の外界空間認識過程に基づく自己運動感応型バーチャル視聴覚空間創成技術の確立(国際共同研究強化)
Project/Area Number |
15KK0002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂本 修一 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (60332524)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | バーチャルリアリティ / マルチモーダルインタフェース / 認知科学 / 情報システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,人間の自己運動時の視聴覚による外界空間認識メカニズムの解明と,その知見に基づいた視聴者の自己空間を精密に再現可能な自己運動感応型VR空間創成技術の構築を目指す。 平成29年度は,まずThe University of Sydneyにおいて音源までの距離知覚メカニズムの解明を進めた。同大学が有する半球上に多数のスピーカを配置したスピーカアレイを用い,バーチャル空間での残響をシミュレーションで模擬した上で,音源からの直接音と模擬した残響音をパラメータとして操作し,音源までの距離判断を聴取者に求めた。その結果,直接音の周波数特性と,残響音の周波数特性の相対的な差も距離判断に影響を及ぼすことが示唆される結果が得られた。音が聴取者に到来する際には頭部や耳などでの反射,回折により周波数特性が変化し,その変化を人間は手掛かりとしているが,その変化を音源自体の周波数特性を知ることなくどのように得ているのかは大きな疑問であり,今回の結果はその解決の糸口になる興味深い結果である。 その後,Oldenburg University,Jade University of Applied Sciencesを訪問した。両大学はいずれもOldenburgに位置して近接していることから,研究の進捗に合わせて同時並行で共同研究を行った。Oldenburg Universityでは円筒型のスクリーンとスピーカアレイによってバーチャルに再現される視聴覚空間での人間の外界空間特性知覚実験の計画,実験系構築を進め,Jade University of Applied Scienceでは,Blau教授が開発した音空間収音技術により再現される音空間の知覚精度の評価を進めた。 これらの研究と平行して日本においても研究を進め,移動音源の知覚が音源までの距離によって様相が異なるという興味深い結果も得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の申請書で予定していた全研究機関について,実際に訪問して共同研究の詳細を議論すると共に実際に実験を実施し,今後の継続的な共同研究についても合意できている状況であり,当初の予定通り順調に研究が推移していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は平成29年度に訪問して議論,実施した研究をさらに進めるべく,当該研究機関を再度訪問して追加の実験,分析を行う予定である。特にOldenburg Universityでの共同研究については,同大学の有している円筒型スクリーンでの実験を実際に実施し,データの分析を行っていく。
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