2016 Fiscal Year Research-status Report
相互運用可能な双方向グラフ変換に関する研究(国際共同研究強化)
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15KK0017
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
日高 宗一郎 法政大学, 情報科学部, 教授 (70321578)
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Project Period (FY) |
2016 – 2017
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Keywords | 双方向変換 / 相互運用性 / グラフ変換 / モデル変換 / プログラミング言語 / プログラム変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
データの相互変換は情報システムにおける重要な操作であるが、双方向変換は、その変換をこえて双方向に更新を伝播させることができるため、設計から実装までの工程をモデル変換で実現するモデル駆動開発に於いて、下流での修正の上流への伝播を実現する枠組として期待されている。 本研究は、代表者が双方向グラフ変換言語をモデル(=グラフ)駆動開発に応用してきた過程で直面した実用上の問題を相互運用性の切口で捉え、より明快で強力な双方向変換の枠組を提案しようとする基課題における複数のサブテーマ中「双方向変換システムの他のシステムと対等で相補的な統合」の強化により、実用的な双方向変換方式を開拓するものである。 本年度は、先に提案した、単方向変換言語から双方向変換言語への部分翻訳に基づく部分双方向変換手法について、単方向変換言語処理系と双方向変換言語処理系の統合実行による統合処理系が全体としてラウンドトリップ性を示すための一般的な十分条件は(1)単方向変換言語が加法性を持つ、(2)双方向変換言語がラウンドトリップ性を持つ、(3)両処理系のデータモデル間の双方向変換がある、(4)単方向言語から双方向言語への翻訳が健全であることを証明し、単方向モデル変換言語ATLから双方向(化された)グラフ変換言語UnQLへの部分翻訳もその具体例となることを示した。本成果は国際学術雑誌で査読中である。 また、広く利用されている開発環境であるEclipseのプラグインとして統合実行システムを実装したものを公開し、自明でないモデル変換について、ラウンドトリップの具体例と保証されるラウンドトリップ性のシナリオを示した。 更に、従来発見的手法に頼っていた上記部分翻訳について、統合対象言語の抽象構文や意味に内在する代数的性質に基づき翻訳を導出する手法の検討により、翻訳システムを系統的に構築する道筋を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時の目的である、モデル変換言語のデファクトスタンダードであるATL等の単方向変換系を、申請者等が開発している双方向グラフ変換システムGRoundTramなどの双方向変換系と部分翻訳を介して統合することによる双方向化のための、(1)編集伝搬対象部分から双方向変換系に引き渡されるユーザの編集の適切な抽出、(2)双方向・単方向変換両系の生成するターゲットの正確な重畳の保証、(3)部分翻訳の正しさの保証という課題に、統合先である単方向変換言語ATLの開発拠点で仕様に深い洞察のある専門家と密に協力し実装を含めて集中的に取り組むということに対し、28年度研究計画に沿って上記(1)~(3)の課題に実際に取り組むことで理論、実装、具体例による評価を含めて達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
渡航期間中の研究や投稿論文の査読コメントを踏まえ、翻訳システムを系統的に構築する手法の精緻化も含めてSkype等で共同研究者との議論を継続し、国内外での成果発表を行う。 また、プログラミング言語に関する事柄を中心に、滞在中に判明した問題点など、日本のプログラミング言語研究者との密接な議論が必要な事柄について、研究会出席や打ち合わせを行う。
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