2018 Fiscal Year Annual Research Report
Transpacific American Literary Studies and the Cold War: Institutional Formations and Aesthetic Forms (Fostering Joint International Research)
Project/Area Number |
15KK0042
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
井上 間従文 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 准教授 (50511630)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 映画理論 / 詩と映画 / 装置論 / ミシェル・フーコー / 1960年代 / テレサ・ハッキョン・チャ / トランスパシフィック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではカリフォルニア大学バークレー校(以下UC Berkeley)にて同校修辞学、女性学・ジェンダー学研究科教授のTrinh T. Minh-ha氏の受入れのもと、トランスパシフィックな文学研究を映画・映像研究と接合するための基礎的研究および、そのための国際的な研究者ネットワーク形成に努めた。 この基礎的研究においては主に英語圏の詩的文学表現が1920年代以降の映画に顕著な表現・形式的要素に影響を受けており、また映画と権力をめぐる「映画装置」論が詩的イメージとフィギュア(形象)の流動性をめぐる思考に大きく影響を受けていることを明らかにした。この研究は上記のTrinh氏のほかに、Bertrand Augst氏(UC Berkeley名誉教授)、Susette Min氏(UC Davis准教授)などを含む複数の研究者との協力を通して行われた。またこの研究から派生して、1970年代以降のアメリカと東アジア(特に韓国)を横断して詩的テクストと映画作品の制作を行った芸術家テレサ・ハッキョン・チャの映画・映像理論に関する国際的研究ネットワークの形成に着手することとなった。 また1945年以降の東アジアとアメリカをめぐるネーション間の権力の循環と、それぞれの地におけるネーション形成を介したグローバルな軍事と資本の運動に批判的視座を与える芸術のあり方をめぐって、英語論文集Beyond Imperial Aesthetics: Theories of Art and Politics in East Asiaを研究代表者とSteve Choe氏(San Francisco State University准教授)の共同のもとに編集し、2019年にHong Kong University Pressからの刊行が決定している。また、20世紀以降のグローバルな空間における映画理論の進展にも焦点をあてる研究書シリーズCritical Asian CinemasをAmsterdam University Pressより刊行するにあたり、同シリーズの編集委員に就任した。
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