2018 Fiscal Year Annual Research Report
Origin of Caucasian Neolithic Culture: Study of Mesolithic sites(Fostering Joint International Research)
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15KK0044
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
有村 誠 東海大学, 文学部, 准教授 (90450212)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 中石器時代 / コーカサス / アルメニア / 新石器時代 |
Outline of Annual Research Achievements |
東海大学考古学研究室とアルメニア考古学民族学研究所の合同調査として、アルメニア西部のレルナゴーグ遺跡において発掘調査を行った。発掘調査後、アルメニアと日本国内で、出土した考古資料の分析を行った。以下、アルメニアと日本で実施した研究の内容についてそれぞれ報告する。 アルメニアにおける調査研究:H30年夏にレルナゴーグ遺跡の発掘を実施した。今年度は、昨年度に発見した建築遺構の全容を解明することを主な目標とした。これまでの調査により、レルナゴーグ遺跡は前7000年ごろに位置づけられるアルメニアで唯一の遺跡であることが判明した。同遺跡はコーカサスの新石器文化(前6000~5200年)の起源に繋がる重要な遺跡として、その文化内容の解明が期待されている。こうした中、昨年度の調査で確認された建築遺構は、レルナゴーグ遺跡とコーカサス新石器文化との系統関係を明らかにできる鍵として極めて重要となった。今年度の発掘によって、この建築遺構は、幅30~40 cmのピゼ壁で作られ、複数の部屋からなる円形建物の一部であることが明らかになった。この発掘成果から、建築伝統の上では、レルナゴーグ遺跡とコーカサス新石器遺跡群との間に関連性があると考えられる。しかし一方で、出土した黒曜石石器をみると両遺跡群には類似性があまりみられない。建築伝統にみられる共通点と石器製作伝統にみられる相違点。このような状況をコーカサス新石器文化の誕生にからめてどう解釈すべきか、今後さらなる調査研究が必要である。 日本における調査研究:日本にレルナゴーグ出土の動物骨と年代測定用の炭化物を持ち帰った。動物骨については、これまでと同様に総合研究大学院大学の研究者に分析を依頼した。出土動物骨の大半はウマ科のもので、家畜種は確認されていない。また新たな資料でC14年代測定を行ったところ、これまでに得られた年代値とほぼ同じような値が得られた。
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