2018 Fiscal Year Research-status Report
Japanese Shakespeare in the New Millennium(国際共同研究強化)
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15KK0053
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
エグリントン みか 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (50632410)
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Project Period (FY) |
2016 – 2019
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Keywords | シェイクスピア / 日本 / アジア / オリエンタリズム / オキシデンタリズム / ポストコロニアリズム / フェミニズム / 舞台芸術 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度前半期はロンドンを拠点にヨーロッパとアジアの演劇祭や学会に出席しながら現地調査を行い、日本と英国のシェイクスピア上演研究に従事した。5月19日に東京女子大学で開かれた日本英文学会第一シンポジアにて、非英語圏のシェイクスピアの増加と多民族国家英国のEU離脱を背景に、英国の三大劇場National Theatre, RSC, Shakespeare Globeの半世紀を俯瞰した‘The Bard, Britain and Brexit’を発表した。5月末にマニラにおいて開催された第3回Asian Shakespeare Associationにて、劇団山の手事情社の『テンペスト』公演に見る帝国と言語の表裏性を考察した‘“The Savage New World"; the Empire of Language/the Language of Empire’を、9月末にイエルヴァンで開かれたアルメニア・シェイクスピア学会では同公演のセクシュアリティと権力について論じた“To make me slave to it”: the divisive empire of language in Yamanote Jijosha’s The Tempest"の英語論文発表を行い、現在これらの発表を論文化している。 11月末からは国立台湾大学と師範大学にて、'Re-orienting "the Orient": the positionally and Representation of Asia, Women and Shakespeare'というテーマの下、これまで日本と英国を中心にしていたアジア・女性・シェイクスピアの関係性を、日本の植民地であった台湾においてリサーチを行い、3月6日には国立台湾大学(台湾シェイクスピア学会共催)にて招聘公演'Re-orienting the "the Orient in Asian Shakespeares"'を行った。 上記の国際学会における英語発表4本に加えて、女性と演劇と社会に関わる論考、翻訳と批評の3本、合計7本を業績に挙げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国際共同研究の課題を研究してきた上で、日本と英国を中心にした視座に加え、第二次世界大戦前後、日本の植民地であった台湾と、日本を実質的に植民地化した米国における米国を加える必要性がでてきたため、2018年後期から台北とニューヨークにて研究を行なっている。 当初予定していた日英間の研究プロジェクトより多様なアプローチを選択した結果、新たな環境に順応する必要性が生まれた。加えて台湾では,、日本・台湾・中国を中心とする東アジアのシェイクスピアを考察する際に必要不可欠となる中国語の習得に時間と労力を費やし、出版プロジェクトにやや遅れが出たので、補助事業期間延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年7月頭までニューヨーク市立大学大学院演劇学科の客員研究員として滞在し、ニューヨークを中心とした劇場、舞台芸術アーカイブを中心に、アメリカにおけるアジア・シェイクスピア・女性の表象と関係性についてリサーチを行う。 7月9日から13日までイタリアのローマ・トリ大学で行われるEuropean Association of Shakespeare Researchにおいて、セミナー・共同コンヴィーナーとして、'Shakespeare on the Intercultural Edge: Adaptation, Translation, Acculturation and Hybrid Strategies'をリードする。その後、『オセロ』を筆頭にシェイクスピア劇の舞台となり、アルメニア・シェイクスピア学会とヴィエンナーレが行われているヴェニスに滞在する。 8月から始まる愛知トリエンナーレと利賀村シアターオリンピックについての記事をThe Japan Timeに寄港し、字幕翻訳を行いながら、シェイクスピア作品を中心に現地調査を行う。 秋からはヨーロッパ、アジア、アメリカの演劇祭の訪問を織り込みつつ、共同研究者であるリズ・シェイファーとミーティングを重ね、ロンドン大学を中心とする学会、シンポジウム、勉強会に出席し、現地の劇場・アーカイブを活用しながら、英語書籍プロジェクトを推進させる予定である。
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