2016 Fiscal Year Research-status Report
スカンディナヴィアとその影響圏におけるルーン石碑の総合研究(国際共同研究強化)
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15KK0062
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
小澤 実 立教大学, 文学部, 准教授 (90467259)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 中世 / グローバルヒストリー / ビザンツ帝国 / ヴァイキング / ハンザ / スカンディナヴィア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、基課題の目的のうち、スカンディナヴィアならびにその影響圏と外部世界の関係の解明をとりわけ発展させるべき目的として設定した。 その目的を検討する枠組みとしてのグローバルヒストリー研究の有効性を確認するために、近代グローバルヒストリーを牽引するドミニク・ザクセンマイアー(ゲッティンゲン大学)、張旭鵬 (中国社会科学院)ならびに秋田茂(大阪大学)を立教大学に招聘し、近年のアカデミアにおけるグローバルヒストリーのあり方を検討した。 他方で、中世北ヨーロッパにおける越境的問題を具体的に検討するために、ヴァイキングとハンザという二つの研究領域を取り上げ、整理を行った。前者に関しては、近年におけるヴァキング研究の方向性を確認するために、「『北の農民ヴァイキング』から『ヴァイキングの歴史』」において現在までの日本におけるヴァイキング研究を、「文献解題」においてヨーロッパにおける諸研究を整理した。他方、後者に関しては、当該分野の古典的研究であるドランジェ『ハンザ』の翻訳に携わり、知識を整理した。いずれの研究領域においても、中世的なありかたでの人・物・金・知の移動を確認することが可能となった。 上記検討に加え、中世グローバルヒストリーを牽引するキャサリン・ホームズ博士のビザンツ帝国に関する講演原稿に対する解説を執筆することにより、中世グローバルヒストリーのありかたを一定程度整理することができた。また、専門家に、ビザンツ帝国におけるスカンディナヴィア人の活動を知るための最重要史料であるコンスタンティヌス7世『帝国統治論』の該当箇所の翻訳を依頼し、次年度以降の研究の足固めをした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所期の目的に従って研究を進めるとともに、当初の予定にはなかったグローバルヒストリー研究の世界的権威であるドミニク・ザクセンマイアー教授の急遽来日に際して、立教大学でも議論をすることが可能となったため、より深い検討を加えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究の方向を推し進めるとともに、次年度は、複数の海外研究者を招聘し、中世グローバルヒストリーのありかたについて議論を進める予定である。とりわけ、6月のAnna Sapir Abulafia教授と7月のMarek Jankowiak博士の招聘はすでに決定しており、両者との議論とワークショップを通じて、研究者人脈の構築ならびに研究内容の深化を図る。
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