2018 Fiscal Year Research-status Report
17-19世紀南米ラプラタ地域イエズス会布教区の住民名簿に関する歴史人類学的研究(国際共同研究強化)
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15KK0063
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
武田 和久 明治大学, 政治経済学部, 専任講師 (30631626)
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Project Period (FY) |
2016 – 2019
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Keywords | イエズス会士 / グアラニ先住民 / 布教区 / 住民名簿 / カシカスゴ |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで同様にアルゼンチンに渡航し、国立文書館で史料調査を進める一方、週に1、2回のペースで海外共同研究者のギジェルモ・ウィルデ博士と議論を重ねた。文書館では主に、20世紀前半の先行研究で言及された史料を実際に請求し、先行研究の見解の真偽を確認すると共に、イエズス会布教区ごとの地図の保管状況や原本・複製の区別などを確認した。こうした成果の一部は、前年と同じくウィルデ博士と共に開催した2回目の国際研究集会「スペイン領南米ミッションにおける空間と権力―(ヨーロッパ的)知識、(先住民側からの)応答、(両者の混交によって生じた)循環」(Espacio y poder en las Misiones de la America espanola meridional: saberes, mediaciones y circulaciones)で公にした。昨年と同様に国立サンマルティン大学社会科学高等研究所を会場として実施された。 アルゼンチンでのこの集会を終えた後はドイツへ渡り、テュービンゲン大学にて二日間にわたる国際研究集会「資源としての先住民知識?-ヨーロッパ・アメリカ間におけるグローバル・ローカル知識の伝播、受容、相互作用、1492-1800」(Indigenous Knowledge as a Resource? Transmission, Reception, and Interaction of Global and Local Knowledge between Europe and the Americas, 1492-1800)をラウラ・ダークスマイヤーならびにファビアン・フェヒナー両博士と共に開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウィルデ博士とは2019年度にも国際研究集会をアルゼンチンで共同開催することで合意しており、目下そのための準備が進行中である。開催は例年通り8月が予定されている。また、ドイツのダークスマイヤーおよびフェヒナー両博士と開催した国際研究集会の成果は、本科研の研究代表者も含めた編著として出版することを準備中であり、現在は寄稿者たちが提出した原稿の査読作業が進行している。 ダークスマイヤー博士からは、2020年パリで開催予定の「ヨーロッパ・ラテンアメリカニスト歴史協会」(Asociacion de Historiadores Latinoamericanistas Europeos[通称AHILA])大会にて、テュービンゲン大学での国際研究集会の成果を踏まえてパネルを企画する提案が出され、本パネルは大会委員会より承認された。同博士とは国際共同研究のさらなる進展の可能性が高まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究の過程で、イエズス会グアラニ布教区に関する洗礼簿の存在が明るみになってきた。これは新生児のグアラニが洗礼を受けた際にその父母や名付け親(代父)の氏名が記された記録である。非常に興味深いのが、母親の所属カシカスゴの名称も記載されている点である。カシカスゴに関するこうした記述は、本研究がこれまで進めてきた住民名簿の中に表れるカシカスゴに関する記録の分析を補完する貴重な情報である。本年度は、この洗礼簿と住民名簿との比較研究を進め、ヨーロッパ地域を舞台とした洗礼簿に関する先行研究の内容も踏まえながら研究を深めていく方針である。
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[Presentation] Introduction2018
Author(s)
Laura Dierksmeier, Fabian Fechner and Kazuhisa Takeda
Organizer
Indigenous Knowledge as a Resource? Transmission, Reception, and Interaction of Global and Local Knowledge between Europe and the Americas, 1492-1800
Int'l Joint Research
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[Presentation] Discussion / Concluding Remarks2018
Author(s)
Laura Dierksmeier, Fabian Fechner and Kazuhisa Takeda
Organizer
Indigenous Knowledge as a Resource? Transmission, Reception, and Interaction of Global and Local Knowledge between Europe and the Americas, 1492-1800
Int'l Joint Research
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